久保建英の先制弾を現地紙が絶賛 「マークを外す動き」でゴール量産へ (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

【勝ち点に直結するゴールを】

 今シーズンの久保は、何が期待されるのか?

 単刀直入に言えば、今シーズンの久保にはゴールが求められる。得点数というよりは、どれだけチームが困難な状況でゴールネットを揺らし、流れを引き寄せられるか。言わば、勝ち点に直結するゴールだ。

 その点で開幕のジローナ戦は昨シーズンに続くゴールを決め、及第点がつけられる。

 5分、自陣からのカウンターだった。左サイドを左利きサイドバック、アイエン・ムニョスがドリブルで持ち上がった時、久保は押し下げられる相手のディフェンスラインに対し、焦っていない。急ぎすぎず、タイミングを測り、ファーポストから侵入。ムニョスからのバックラインの前を横切るクロスを呼び込み、左足で逆サイドにコントロールした。完全にマークを外していたこともあって、難なくシュートを打ち込めている。

 簡単に見えるが、これが難しい。

 カウンターでは、どうしても「ここぞ」という空気が出て、つんのめるようなスピードが生じ、相手も下がって行く。そこで「止まる」、あるいは「スローになる」ことができるか。それによって、マーカーを幻惑できる。鋭く力強く動くことが、必ずしも正解ではないのである。

 ラ・レアルでは過去、フランス代表アントワーヌ・グリーズマン、スペイン代表ミケル・オヤルサバルというセカンドストライカータイプの得点数が多くなる傾向にある。それは、彼らが下部組織スビエタ時代から、「ファーポストで"止まる動き"でマークを外し、ゴールを奪う」という技術を身につけているからだ。味方FWが駆け引きをした後にできるスペースをうまく使い、自らにつくマーカーを出し抜く。背後を取る動きが、体に染みついているのだ。

 久保がゴールゲッターとしても覚醒するとしたら、ファーでの得点が増えるだろう。

 冒頭で記したように、チームが仕上がってきたら、ラ・レアルはもっと高い位置で攻撃を繰り返せる。現時点では、想定していた主力メンバーの半分近くが揃わず、新加入のポルトガル代表FWアンドレ・シウバもケガの影響で実戦復帰していない。

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