三笘薫の貢献度はさらにアップ 陣容が変わったブライトンで見せた昨季以上の存在感 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

【先制ゴールを生んだカギとなるプレー】

 三笘の最大の見せ場は縦抜けだ。しかし、対峙するルートンの右ウイングバック、イッサ・カボレ(ブルキナファソ代表)と1対1になると、決まってジョアン・ペドロは、さらに縦で受けようと左に流れた。三笘の特長を理解していないのか、左に流れてプレーすることが好きなのか、定かではないが、結果的に三笘の魅力を消すことになった。三笘はおとなしいプレーを余儀なくされた。

 とはいえ三笘には余裕があった。安心して見ていられた。周囲からも実力を認められているのか、パスもよく集まった。存在感は昨季以上に増していた。

 最初に見せ場が訪れたのは前半33分。先述のダフードは三笘が対峙する右ウイングバック、カボレの帰陣が遅れているのを見逃さなかった。そのルートンの布陣の乱れを突くように、三笘の鼻先に縦パスを通した。ルートンのデンマーク人CB、マッズ・アンデルセンは、サイドにおびき出される格好になった。

 三笘は左サイドに深々と侵入するも、様子をうかがいながらボールを再びダフードに戻す。しかしダフードはもう一度、三笘にパスを返した。肩で荒く息をするカボレの姿が目に入ったからに違いない。実際、三笘の足にボールが収まってもカボレの動きは緩慢で、間合いを詰めることができなかった。

 三笘は中央を余裕でルックアップすると、ゴール前は2対2の状況が出来上がっていた。数秒前、サイドにつり出されたアンゼデルセンもポジションを修正できずにいたからだ。三笘のクロスをヘディングで決めたのはソリー・マーチ。ヘディングを得意とする選手にはとても見えない技巧派ウイングが先制弾を決める姿に、そのサッカーの上質さが見え隠れした。

 カギは三笘とカボレの関係にあった。カボレはその直前、3度続けて高い位置でボールを受けていた。3度目はウイング然と、深い位置からブライトンゴールめがけ、クロスボールも送っている。サイドアタッカーが両サイドに各1人しかいない、言い換えれば5バックになりやすい3バックの弱点が露わになった瞬間だった。そこを図ったように突いたダフードの戦術眼も触れておきたくなるポイントだ。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る