鎌田大地をラツィオが獲得した理由 「ここ15年で最高のMF」の後継者になれるか (3ページ目)

  • マルコ・パソット●文 text by Marco Pasotto
  • 利根川晶子●訳 translation by Tonegawa Akiko

【右サイドでの活躍を期待】

 鎌田は、チームに必要不可欠なバランスとスピードを与えてくれるだろう。特に右サイドでの活躍が期待される。彼の前方でプレーするのはフェリペ・アンデルソン、もしくは新加入のデンマーク人グスタフ・イサクセン、もしくはすでにラツィオに2年在籍し、最近サッリの希望で契約更新をしたペドロ・ロドリゲスになる。

 一方、彼の後方に位置するのはアダム・マルシッチかマヌエル・ラッザーリ。試合の内容によって変わるだろうが、サッリがより気に入っているのは、バランスがとれていて、積極的に攻撃にも参加するマルシッチのほうだ。

 鎌田は彼らの中間に位置し、攻守をつなぐ重要な役割を果たす。だからこそサッリは、もうひとりのミリンコヴィッチの後継者候補だったディナモ・モスクワの20歳、アルセン・ザハリャンより鎌田を選んだのだ。

 チームの中心はルイス・アルベルトだ。契約問題でチームを騒がしたが、彼がラツィオのゲームを構築していくことは変わらないだろう。センターハーフもしくは左サイドハーフに位置し、前方のチロ・インモービレ、もしくはマッティア・ザッカーニ、フェリペ・アンデルソンにパスを出す。一方、鎌田は逆サイドに位置し、彼が得意とする攻撃をしながら、守備にも参加しなければならない。つまり中盤のオールマイティーとして、運動量豊富にピッチを走る、イングランドで言う「box to box」の役を担う。

 首都ローマに移った鎌田は、市の北に位置する住宅街オルジャータに居を構えた。ラツィオの練習場フォルメッロに近く、ラツィオの多くの選手もこの地区に住んでいる。渋滞と混乱の激しいローマの中心部に住む選手はほとんどおらず、ここ最近ではポルトガル人のルイス・ナニぐらいだろうか。ミリンコヴィッチもつい最近までオルジャータの200平米ある邸宅に住んでいて、練習場までキックボードで通っていた。鎌田も同じように練習場への通いやすさを選んだようだ。

 最後にひとつ気になることがある。鎌田はチームに長袖のユニホームでプレーしたいと申し入れたようだ。フランクフルトでも彼はつねに長袖でプレーしていた。験を担いでなのだろうか。確かに昨シーズンの彼の活躍を見ると「長袖」は彼のラッキーアイテムなのかもしれないが......ローマの暑さはバカにできない。

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