バルサは顔ぶれ一新で強化されたが懸念材料も 「ラ・マシア」出身の若手が続々と台頭しているが... (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/AFLO

【ブスケッツの穴は埋めつつある】

 最大の関心事は、「バルサ最強時代の末裔セルヒオ・ブスケッツの退団後」だった。この点に関しては、シャビ監督がジローナから獲得したラ・マシア(バルサの育成組織)出身オリオル・ロメウを重用し、穴を埋めつつある。

セルヒオ・ブスケッツの後釜として起用されているオリオル・ロメウ(バルセロナ)セルヒオ・ブスケッツの後釜として起用されているオリオル・ロメウ(バルセロナ)この記事に関連する写真を見る「オリオルはブスケッツのいい代わりになる。攻守に質の高い仕事ができることを、アメリカツアーでも証明した。リーダーシップもあって、周りとうまく調和できている。すばらしい補強だね」

 シャビは手応えを感じている様子だ。

 伝統的な4-3-3で、ロメウがアンカーに入る形が基本だが、スペイン代表ペドリをトップ下にした4-3-1-2もひとつのオプションか。ただ、シーズンを通じて考えた場合、まだ人が入れ替わる可能性もある。8月中は複数のプランを模索することになるだろう。

 では、「攻撃こそ防御なり」を御旗に立ててきたバルサは然るべき道を進んでいるのか?

 続いて行なわれた宿敵レアル・マドリード戦は3-0と制したが、懸念材料も透けて見えた。

 スコア上は大勝だったが、実状はボール支配率で劣り、バーやポストに助けられた印象が強い。ウルグアイ代表ロナウド・アラウホが2試合連続ハンドでPKを与えるなど、攻撃に転じられないなかで守備の弱さが出た。昨シーズンのMVPにも名前が挙がった守護神テア・シュテーゲンに救われたゲームだった。終盤にプレスではめ込み、ショートカウンターからラ・マシア出身の新鋭MFフェルミン・ロペスが奪ったボールを左足で叩き込み、どうにか息の根を止めた格好だ。

 8月末まではマーケットが活発に動き、戦力が定まるのは時間がかかる。たとえばエース格になっていたフランス代表ウスマン・デンベレはパリ・サンジェルマン移籍が確定的と言われる。

「彼自身の決定は変えようがない。尊重しているが、幸せそうに見えたので、ちょっと失望している。彼のことはクラブも可愛がってきたはずだから、いい気分ではない」

 シャビはそう言うが、クラブは積年のツケを払っている。クラブ財政難により、大幅減俸でデンベレと契約したため、本人の希望いかんでは5000万ユーロ(約70億円)という"格安"で移籍が可能なのだ。

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