久保建英の今季の最適ポジションは? プレシーズンマッチで「格の違い」を見せている (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

 ただ、アンドレ・シルバはケガで開幕が間に合わず、他に新戦力補強にも動いているだけに、8月中のチーム状態は"フレックス"と言える。

 そんななか、久保がどのフォーメーションでも、どのポジションでもこなせるのは安心材料だろう。プレッシング、トランジション、カウンター、ポジション的優位性の意識、カバーリングなど、その戦術レベルは一気に成長した。適応力は今やセールスポイント。もともとセンスはあったが、「ボールありき」のサッカースタイルに身を浸し、ストレスなく実力を出せるようになった。

 久保はどのポジション、役割もやってのけるが、ゴール近くで複数の選手と絡むのが一番、相手に怖さを与えるだろう。最適解を出さないと、チャンピオンズリーグでグループリーグを勝ち抜き、上位へ駒を進めるのは難しい。ラ・レアルの今シーズンは、久保で左右される、といっても過言ではない。

 8月12日のラ・リーガ開幕戦。ラ・レアルは本拠地でのジローナ戦で長いシーズンの火ぶたを切る。

プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る