バイエルンは「ほぼドイツ代表」日本代表の9月欧州遠征に向けて注目の陣容だ (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

【マンチェスター・シティとの違い】

 代表チーム的な視点で現在のバイエルンを眺めたとき、羨むべき存在にとして映るのが、今季ナポリからやってきた韓国代表のCBキム・ミンジェだ。昨季はチームの主力としてセリエAを制し、CLでも準々決勝を戦っている。韓国の欧州組は日本人に比べると、数では大きく劣るが、マックス値では勝っている。

 韓国人選手としてパク・チソン(当時マンチェスター・ユナイテッド)、ソン・フンミン(トッテナム・ホットスパー)に続く、3人目のCLファイナリストになる可能性を秘めている。マタイス・デ・リフト、ダヨ・ウパメカノというスタメン候補を抑えて出場することは簡単ではないが、アーセナルの冨安健洋より視界は良好と見る。

ナポリからバイエルンに移籍した韓国代表のキム・ミンジェ(右)とマタイス・デ・リフトナポリからバイエルンに移籍した韓国代表のキム・ミンジェ(右)とマタイス・デ・リフトこの記事に関連する写真を見る バイエルンは監督もドイツ人だ。昨季3月、解任されたユリアン・ナーゲルスマンの後任としてその座に就いたトーマス・トゥヘルである。CLではちょうどマンチェスター・シティと準々決勝を戦うタイミングだった。初戦0-3、第2戦1-1。合計スコア4-1でバイエルンは準決勝進出を逃した。

 両者を眺めたとき、一番の違いは、両ウイングの位置取りにあった。マンチェスター・シティのベルナルド・シウバ(右)とジャック・グリーリッシュ(左)が左右のタッチ際に、迫り出すように構えたのに対し、バイエルンはザネとキングスレイ・コマンの両ウイングが左右非対称に構えた。左のザネが1トップ下然と内に入り込むようにポジションを取ったのだ。

 その結果、左からの攻撃が滞った。左SBアルフォンソ・デイヴィスも、攻撃参加する場合は単独突破になるため、リスクを考えたのだろう、後方待機を強いられた。一方、マンチェスター・シティはサイドの深い位置にボールが納まるので、そのウイング攻撃には安定感があった。ボールを奪われても自軍ゴールまでの距離が遠く、反転速攻を浴びにくい体制にあった。

 CL準決勝初戦ではこの差がスコアに直結した。サイドアタックをきれいに決めたマンチェスター・シティに対し、バイエルンは真ん中に入り込んだザネが、四方をプレスの網に囲まれ、ボールを奪われたことで決定的となる3点目を献上することになった。マンチェスター・シティが深々と攻めたのに対し、バイエルンは浅かった。今回はどうなのか。両軍のウイングのポジショニングを注視したい。

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