パリ・サンジェルマン残留か、レアル移籍か 孤立化するエムバペをめぐる噂の真相 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【ネイマール、メッシとの関係】

 この時、エムバペはすかさず「我がチームメイトにはいいものを食べ、よく眠ってほしいものだ」と誰とは言わないものの当てつけのような発言をしている。

 ネイマールとエムバペは喧嘩こそしていないが、その関係は日々冷え込んでいる。そんな噂を打ち消すように、この6月にはバルセロナで開催されたF1スペインGPの会場で仲良しショットを披露しているが、その撮影の光景を見ていた者は、ふたりが写真を撮った時だけ笑顔で、その後はさっさと別方向に歩いて行ったと証言している。

 エムバペはPSGにメッシが来たことも気に入らなかった。メッシはネイマールの親友だ。エムバペがメッシとともに笑っているのを見たことがあるだろうか。カタールW杯の決勝では、ハグしていながらも、彼らは一切視線を合わさなかった。

 2022年にエムバペは「ネイマールには出ていってもらってもいいが、メッシに残ってほしい」という趣旨のことを言ったが、それに対しメッシが「俺はネイマールのためにここに来た」と答え、ふたりの間の溝はさらに深まった。

 この夏、メッシが出ていったことは、エムバペを喜ばせたはずだ。ちなみにメッシがパリをあとにした理由は、半分は激しく彼を非難するサポーターに愛想をつかしたからであるが、もう半分は「エムバペが自分を嫌がっている」という声にうんざりしたからだ。

 また、エムバペが「フランス人だから」と望んで2022年に監督に就任したクリストフ・ガルティエとも、結局はうまくいかなかった。ガルティエのもと、彼はこれまでにないほど何度も途中交代させられた(その理由をガルティエは「前でひとりでボールを待っていることが多いから」と語っている)。そして監督はスペイン人のルイス・エンリケに変わった。

 このようにエムバペがチームの人事に口出しすることにも、チームメイトはうんざりしていた。

 もともと優秀だったトーマス・トゥヘルやマウリシオ・ポチェッティーノを嫌がり、CLどころかヨーロッパリーグ(EL)を戦った経験もないガルティエを望んだのはエムバペではないか。PSGの唯一にして最大の目標がCL優勝であるならば、ガルティエは考えられない選択だった。

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