エムバペの希望はレアル移籍...だが、7月19日「最終期限」でも結論を先延ばしにする理由 (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【来日するのかどうかに注目】

 エムバペを獲得しようというところは、どこも小さなクラブではない。それだけにその影響力は大きいし、「エムバペに翻弄されるのはたくさんだ」と感じることもあるだろう。

 PSGに決められた期限の7月19日までに、エムバペは答えを出すことはないだろうというのが大方の見方だ。PSGは契約更新もしくは放出の決定を急いでいるが、エムバペには急ぐ必要がない。それどころか、7月31日までPSGに在籍すれば、2年目にもらえるはずのボーナスの半分を手にすることができるという。8月以前には決まらない可能性は高いだろう。

 アントネッティがいうように、エムバペには自分のことしか考えていないところがある。自分の振る舞いについて、チームやサポーターがどう感じるかはお構いなしだ。そのことを一番的確に表しているのはPSGの元スポーツディレクター、レオナルドの言葉だ。

 前編でも述べた通り、レオナルドはエムバペをPSGに連れてきてスターダムに乗せた張本人だが、その彼が先日、フランスの『レキップ』誌のインタビューでこう語っている。

「PSGのためにも、エムバペは今、チームを去るべきだ。PSGはエムバペ以前から存在し、彼が去った以後も存在する。彼はパリに6シーズンいて、その間5つの異なるクラブがチャンピオンズリーグを制した(レアル・マドリード、リバプール、バイエルン・ミュンヘン、チェルシー、マンチェスター・シティ)が、そのどこにもエムバペはいなかった。つまり、エムバペがいなくても優勝する可能性は十分にあるということだ。

 この2年間の彼の振る舞いで、彼はチームを率いることのできる選手ではないことがわかった。彼は偉大な選手だが、リーダーではない。彼は偉大なゴールゲッターだが、プレーメーカーではない。彼を中心にチームを作るのは難しい」

 PSGは7月10日から新シーズンに向けて練習を開始した。エムバペは6月に代表戦があったため、7月16日、一番最後にチームに合流した。今後、チームは21日に最初の練習試合をした後、22日にジャパンツアーに出発する。実はこのツアーには2つのポスターが用意されているという。エムバペ入りとエムバペなし。この日本行きで、彼の最終的な去就がわかるかもしれない。

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