元横浜F・マリノス中町公祐が体感したアフリカ社会とザンビアサッカーの現実 「大きな音がしたと思ったら銃弾が...」 (3ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • 竹谷郷一●写真 photo by Takeya Kyoichi

【アフリカ人選手の身体能力の高さを実感】

 ちなみに、ザンビアにも外国人選手はいるが、その多くはアフリカの他の国から来た選たち。サッカーのプロリーグがあれば世界中どこにでもいるのがブラジル人選手だが、中町は一度も見ていないという。

 ザンビアでプレーしたことで、アフリカ人選手の身体能力の高さもあらためて実感した。

 驚いたのは、ナイター設備がないため、練習は暑さの厳しい日中にやることが多いのに、1部だったゼスコ・ユナイテッドを除けば、練習の際に基本、水が用意されていなかったことだ。にもかかわらず、ローカルの選手は普通に動いていた。

「さすがに試合のときは用意されていますが、練習時はたまにビニール袋に入った水が出てきたらラッキー、みたいな。そうした費用はクラブも準備しているはずですが、おそらくチームマネージャーが自分の懐に入れてしまったりしているのだと思います。チームで用意されていないなら個人で準備すればいい? もし個人で用意していけば、チームメートが『オレにも頂戴』と集まってきてそれこそ大変。だから、飲まずにやるしかないんです」

 水が撒かれず、スパイクを履くことさえ躊躇(ためら)う固い地面のグラウンドに、サッカーゴールもなく、H型のラグビーのゴールポストだけが置かれた練習場もあった。だが、そんな環境で何事もなかったようにトレーニングに臨むローカルの選手にも驚かされた。

「こっちがやっとの思いで固定式のスパイクを履いているのに、向こうの選手は(固定式に比べポイントの数が少なく、より足腰への負担の大きい)取替式のスパイクを履いて、なかには中敷きを抜いている選手もいました。
 
 ある時、週の初めに朝5時半から3時間走る練習があって、僕は事前にランニングシューズやプロテインバーを用意して臨んでいました。ただ、彼らは何の準備もせずコンクリートの上でもスパイクでカッカッカッカッカッ!って軽快に走るわけです。もっとすごいのは、クロックスを履いているのに普通に速い選手がいましたからね」

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