ハーランドとウーデゴールのホットライン発動。見事なゴールのカラクリに迫る (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

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ベルグ→ウーデゴールとつなぎ、ハーランドがスルーパスで抜け出してシュート

 互いに未勝利同士の対戦だが、明確に力の差があるなかでキプロスは序盤から5-4-1のシステムで、重心を後ろに置いて守備的にゲームに入った。

ベルグ→ウーデゴール→ハーランドとつなぎゴール。中央からの見事なパス攻撃だったベルグ→ウーデゴール→ハーランドとつなぎゴール。中央からの見事なパス攻撃だったこの記事に関連する写真を見る ノルウェーのビルドアップに対して、キプロス1トップのヨアンニス・ピタスは、アンカーのパトリック・ベルグのパスコースを背中で消す程度で、CBにプレッシャーに行かなかった。

 中へのパスコースを切って、外へ追い込んで詰まらせる。あるいはライン間への進入に対して、複数で挟み込んで奪うというのがキプロスの狙いだった。しかし、このシーンではMFとDFのラインの距離感が遠く、ノルウェーはその隙を逃さなかった。

 ストランドベルクがボールを持ち出すと、カスタノスが釣り出される。その瞬間、ベルグがカスタノスの脇のスペースに動いてパスを要求。同時にライン間にいたウーデゴールがパスを受けるコースに動いていた。

 パスを受けたベルグはワンタッチでウーデゴールへ渡した。このとき、ハーランドの駆け引きも見事だった。ウーデゴールにボールが渡る少し前にややポジションを下げると、キプロスCBのコンスタンティノス・ライフィスは釣り出された。

 その瞬間、ハーランドはその裏へスプリント。そこへウーデゴールから絶妙なスルーパスが通り、ハーランドはダイレクトで冷静に流し込んだ。

 相手の緩くなった守備の隙を逃さず、ウーデゴールとハーランドという、欧州でも屈指のハイクオリティコンビがその力を見せつけたゴールだった。

◆【動画】ユーロ2024予選 ノルウェー vsキプロス ハイライト
(ノルウェーの3点目のシーンは、2分11秒~38秒)

プロフィール

  • 篠 幸彦

    篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)

    1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

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