「小野伸二を思い出す」 オランダ人に「どハマりした」パリ五輪世代・斉藤光毅は「手に負えない左ウインガー」 (4ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

【いずれ日本代表に定着する】

 ある日、スタイン監督は私に「お前からも光毅に、来季もスパルタに残るよう伝えてくれ」と言った。それは、かなり本気の混じった冗談だった。

 当時、オランダのメディアには「スパルタは斉藤のレンタル延長についてシティグループ(マンチェスター・シティを頂点とする世界規模のサッカー事業グループ。ロンメルも所属)と交渉を開始した」と報じられていたからだ。結局、6月5日にスパルタから「斉藤光毅は来季もクラブに残る」と発表された。

「自分にとって、すごくいい環境です。スタッフも選手もサポーターの人たちも、みんながよくしてくれる。来年も活躍して(次のクラブに)ステップアップし、『スパルタが出した』と言われることが恩返しになるので、しっかり頑張っていきたい」

 かつて斉藤は、スパルタのことを「いい人が多いクラブ。みんながフランクに話してくれる」と言っていたことがある。現役時代、美しいドリブルをすることで定評のあったヌルディン・ブカリ(元モロッコ代表MF)コーチとは、ドリブルの話で盛り上がっていた。

「(ブカリコーチは)面白い人。変なドリブルをしたり、俺のドリブルをマネしたり、股抜きしたりしています」

 そのブカリコーチに、斉藤のことを訊いてみた。

「ドリブルはもちろんのこと、洞察力があって、ポジショニングも巧み。なにより、相手を脅かすプレーができる。フィジカルも強くなり、うまく背中を使ってキープしたり、相手のボールを奪ったりする。彼には大外のドリブル、中に入るドリブルの話などをします。光毅はいずれ日本代表に定着するでしょう。課題は決定力。もっとスタッツを伸ばすことができる」

 背中を使ったキープやデュエルは、斉藤も得意なプレーだという。

「育成の頃からCFだったので、背中を使ったプレーは自然と身につきました」

 シーズン終盤には、試合中に足をつることもなくなった。カンファレンスリーグ出場をかけたプレーオフでは4試合も続いたものの、延長戦も含めて385分間(1試合平均96分間)戦い抜いた。

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