ベンゼマが去り、モドリッチの後釜を獲得...世代交代がジワリと進むレアル・マドリードの来季はどうなる? (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

【カスティージャは2部昇格プレーオフ決勝へ】

 昨シーズン、アーリング・ハーランドの獲得合戦に敗れ、キリアン・エムバペも土壇場で逃したのが痛恨と言えるだろう。2人ともひとりで局面を変えられるアタッカーで、もし加入していればチームの中心になっていただろう。ベンゼマの周りの力を引き出す能力には及ばないが、どちらも唯一無二の爆発力を備え、新しいレアル・マドリードの顔にふさわしかった。                                                         

 もっとも、未来を託すルーキーはすでに指名を受けている。

 パルメイラスの16歳、ブラジル人FWエンドリッキである。南米王者を決めるリベルタドーレス杯でもゴールを記録し、勝利に貢献。左利きのロマーリオを想起させ、小柄だがゴールに対する技量に優れ、剛と柔を兼ね備えたようなプレーに"大器の予感"が漂う。

 昨年12月、レアル・マドリードと契約を結び、移籍金はゴール数などで変動する契約になっており、最高で7200万ユーロ(約110億円)になるという。ただ、エンドリッキの入団は18歳になる2024-25シーズンになる予定だ。

 今シーズンは世代交代を進めることになるが、名将アンチェロッティ監督が、メンバーをがらりと変えてチーム力を落とすことはないだろう。少しずつ人を入れ替え、馴染ませながら戦力アップを図る。事実、これまでもマルセロ、カゼミーロ、ガレス・ベイルというベテランを放出する一方、カマヴィンガ、チュアメニという若手をフィットさせ、バルベルデ、ロドリゴ、ヴィニシウス・ジュニオールを主力に組み入れてきた。

 ラウル・ゴンサレス監督率いるカスティージャは、バルサ・アトレティック(バルセロナのセカンドチーム)を逆転で破り、2部昇格プレーオフ決勝へ進んだ。中井卓大も所属するカスティージャだが、セルヒオ・アリーバス、イケル・ブラーボなどが力をつけつつある。2部昇格を果たせば、トップチームの選手層に厚みを加えるはずだ。

 生まれ変わるレアル・マドリードが、強く脈打つ。

プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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