久保建英、三笘薫、上田綺世...... 福田正博が「スタメンを張る選手が増えた」と感じた今季欧州サッカーの日本人選手の活躍を分析 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

【三笘の活躍はほかの日本人選手への注目も高めた】

 その久保と同じく、日本のみならず世界にインパクトを与えたのが三笘薫だった。カタールW杯を前後して活躍しだし、初挑戦のプレミアリーグでもセンセーションを引き起こした。33試合に出場して7ゴール5アシスト。ブライトンの来季UEFAヨーロッパリーグ出場権獲得に大きく貢献した。

 さらに三笘の活躍によって、日本人選手でも世界最高峰のプレミアリーグで攻撃的なポジションで主役を張れることを示してくれたし、あの活躍でほかの日本人選手への注目度も高めてくれたのではないかと思う。

 ビッグクラブへの移籍も期待したい一方、もう1シーズンはブライトンで攻撃の核として存在感を高めるのが現実的な気がする。

 ステップアップとなる新天地を選ぶということは、チーム内の同ポジションの選手のレベルも高まる。そのなかで来季は各クラブが三笘への対策を練ってくる。それを踏まえると、何試合かやって三笘が今季のような活躍ができなかった時には出番が得られなくなる可能性がある。

 そうなるくらいなら、もう1シーズンか冬の移籍期間まではブライトンでプレーし、対策を練られても凌駕できる力を身につけるほうがいいのではないかと思う。

 攻撃的な選手で言えば、昨夏にベルギーリーグのサークル・ブルージュに移籍した上田綺世は、カタールW杯前からゴールを決め出すと、年が明けてからゴールを量産し、チームメイトからの信頼が高まってボールがさらに集まるようになり、終わってみれば40試合で22ゴール。得点王には及ばなかったがリーグ2位、移籍1年目で中位のチームで稼いだゴール数という点を評価している。

 ただ、私が上田へかけている期待は、この活躍程度のものではない。彼のゴールを奪う能力は、もっと高いレベルでも通じると信じているし、そうした舞台でレベルの高いDFと渡り合うことでさらに研ぎ澄まされていくはずだ。来季は5大リーグのクラブや、それ以外でもCLに出場するチームなどでのゴール量産を楽しみにしている。

 堂安律(フライブルク)や伊東純也(スタッド・ランス)も新天地で結果を残したが、一方で気がかりなのが南野拓実だ。リバプール(プレミアリーグ)からモナコ(リーグ・アン)に移籍したが、さっぱりなシーズンになってしまった。

 フランスリーグの特徴に、フィジカル強度の高さと、キャリアアップを意識する若い選手たちが個で局面を打開しようとする傾向が強くある。

 スピードという圧倒的な武器のある伊東純也は、そうした環境下でも持ち味を発揮しやすいのに対し、南野の場合は個で勝負するというよりも、周りの味方と関わりながら違いをつくりだすタイプだ。それもあって今季は不本意なシーズンになった面はあるだろう。

 来季は味方を生かすサッカーをするチームに移籍して、本来の南野らしさを取り戻してもらいたい。ブンデスリーガならドルトムントやライプチヒ、ホッフェンハイムといったチームが味方を使うサッカーをする。ただ、これらは若い選手を育てて売るチームなので、南野が入る余地はない。

 個人的には、鎌田大地の抜けるフランクフルトのサッカーは、南野に合うと思っている。鎌田と南野ではプレースタイルは異なるが、南野のよさは発揮しやすいはずだ。来季も現役を続ける長谷部誠がいるのも、南野復活には心強いだろう。

 果たして南野は、来季の身の振り方にどんな答えを出すのか注目している。

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