原口元気はなぜ「レギュラーからベンチ外」となったのか? 前所属ウニオンは今季4位でCL出場権も獲得「残っていれば...」 (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AFLO

【心機一転の移籍のはずが...】

 ヘーネス監督は、それまでチームを率いてきたミヒャエル・ヴィマー暫定監督(2022年10月〜12月)とブルーノ・ラッバディア監督(2022年12月〜2023年4月)が採用していた4バックをやめて、3バックに変更した。

 シュツットガルトの3バックは、2019年末から指揮をとって1部昇格に導き、昨秋までチームを率いていたペッレグリーノ・マタラッツォ監督時代から慣れ親しんだシステム。チームキャプテンの遠藤航は「今の監督になって元のシステムに戻ったことでやりやすくなった」と、ある程度浸透した戦術に共通理解があることを認めている。

 その一方で原口は、ラッバディア監督時代だった今年1月の移籍市場でシュツットガルトに加入した。移籍後、2月5日の第19節から4月1日の第26節までの8試合すべてに先発し、フル出場3回、ほか5試合も試合終盤まで出場して合計2アシストを挙げた。

 だが、チームは1勝6敗1分。順位は自動残留の15位から最下位の18位まで転落の一途をたどった。ラッバディア監督時代は4-3-3システムで中盤の底に遠藤を配し、その前に原口、アタラン・カラソル、時にはエンツォ・ミローという組み合わせだったが、システム変更とともに原口が外される形となり、結果的にそれがうまくいったわけだ。

 原口にとっては、心機一転の完全移籍だった。前所属のウニオン・ベルリンは今シーズン首位争いを演じ、最終的に4位でフィニッシュ。CL出場権も獲得するなど、クラブ躍進のシーズンとなった。

 原口も「リーグで上位争いしていて、ヨーロッパでも勝っていて、ここ(ユニオン・ベルリン)では非常に面白いミッションのなかにいられて楽しんでやっています」と話していた。

 原口は常に先発していたわけではないが、それでもEL と準決勝まで進んだドイツカップがあって試合数も多く、ターンオーバーを含めて出場機会が巡ってくる回数は少なくなかった。少なくとも、シュツットガルトでのヘーネス監督就任以降のようなことはなかった。

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