「たかがサッカー。自分の人生のすべてではない」遠藤航はなぜ、いつも落ち着き払ってプレーできるのか? (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AFLO

【僕も、もう30歳なんで...笑】

 シュート自体も、走り込んだ直後にもかかわらず、ボールをふかすことなく枠をとらえた。

「今日のシュートに関しては、ファーストタッチをうまく自分の前に(ボールを)置けたし、シュートもやけに落ち着いていたというか......。あんまり力みすぎてもよくないので。

 ドイツで数シーズン戦って、ゴール前での落ち着きは意識しながらやっている。ミドルに関しても、力まずに打つほうがやっぱりいいシュートが打てるし、ゴールにもつながる。今日もね、その(ボールへの)置きどころと当て方だけ、意識してやった感じです」

 プレッシャーのかかる状況でも、遠藤の頭の中はクリアだったことがうかがえた。

 昨シーズンも16位で迎えた最終節のケルン戦、遠藤は後半ロスタイムに得点してチームを自動残留に導いた。緊張も興奮も同時に感じてはいるだろうが、それでも最大限に落ち着き払っていつものプレーができるのは、どのような理由があるのだろうか──。

「まあ僕も、もう30歳なんで(笑)。そのへん(落ち着いていられるのは)は経験もあると思うし、去年の経験ももちろんあるし。

 去年みたいにはならないと思いながら、結局、今年も残留争いしちゃっているところはあるんですけど、結果どう転んでも、自分のやるべきことをやるしかないんで。そこらへんはある意味、割りきってやるというか......」

 さらに、なかなかに新鮮なことを言う。

「2部に落ちることを想定し、最悪の結果になることも、ある程度は自分のなかで受け入れつつ、でも『まだ残り2試合ある』みたいな気持ちの持ち方で。今日に関して言えば、レーバークーゼン戦から攻撃に関してのフィーリングはよかったんで、なんとなく『点は取れるかな』って感じはしていたし。

 それが結局、チームに貢献することになると思っている。自分に求められていることはもちろん、コンスタントにプレーすることプラス、やっぱり今日みたいにゴールだったりアシストだったり結果を残すところだと思う。そういう高いレベルで、常に求めるものを高くしていくのが大事かな、と思います」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る