決定機を逸した三笘薫は「勝負を決めきれない選手なんだ」と悔しがる ブライトンが惜敗したFAカップ準決勝現地レポート (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

【三笘薫は相手のマークに手を焼く】

 試合が始まると、その印象はさらに強くなっていった。デ・ゼルビ監督の率いるブライトンはこの日も、最後尾の中央からでさえただではパスを出さず、相手を十分に引きつけてから瞬間的にフリーになった味方にボールを預けていく。

 地元出身の主将にして守備の要、ルイス・ダンクは1、2シーズン前と比べて見違えるほどに球捌きが巧くなり、のちにマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたセントラルMFモイセス・カイセドは、相手に囲まれても抜け道を見出してリズミカルに攻撃を組み立てる。

 続出する負傷者の影響からか、普段とはやや異なる2トップ気味に臨んだものの、やることはいつもと同じ──イタリアのカウンターカルチャーの担い手、デ・ゼルビ監督が信じる攻撃的な手法で、強者に立ち向かった。

 ただし、公式マッチプログラムの表紙に描かれた三笘は、対峙したアーロン・ワン=ビサカに手を焼いた。序盤にカットインからアントニーに倒されてFKを獲得した時は、この日も期待できそうに思えたが、その後はワン=ビサカの粘り強い守備に沈黙を強いられていった。

 前半の終盤にはブライトンのテンポが乱れ、ユナイテッドが高い位置でボールを奪って続けざまに決定機を迎えた。しかしブルーノ・フェルナンデス、アントニー・マルシャル、クリスティアン・エリクセンのいずれもが決定機を逸している。

 後半に入ると再びブライトンがペースを掴み、56分にはフリオ・エンシーソがGKを強襲し、直後のCKからダニー・ウェルベックが際どいヘディングを放った。ユナイテッドのエリック・テン・ハーグ監督はこの劣勢に適切に対処し、フレッジを投入して中盤を引き締めることで、青に傾きかけた流れを食い止めた。後半終盤には、右サイドからソリー・マーチが切れ込んで一撃を放ったものの、ユナイテッドのGKダビド・デ・へアがゴールを許さなかった。

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