三笘薫が敵ファンも魅了するプレーで勝利に貢献 CL出場を目指すブライントンには90年代のアヤックスのような強さがある (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by REX/AFLO

【代えが利かないブライトンの3人】

 左センターバック(CB)が左のライン際に送り込んだ縦パスに、まず反応したのは左SBのペルビス・エストゥピニャンで、中央にマイナスのボールを送り込んだその跳ね返りが、三笘の足もとに転がってきた。1度ドリブルを入れたあとに折り返すと、1トップを務めるアイルランド代表の18歳、エバン・ファーガソンが左足のかかと付近で、これをきれいに流し込んだのである。三笘の今季5つ目のアシストが決まった瞬間でもあった。
 
 後半16分には相手CKからの反転速攻で見せ場を作った。クリアを拾ったのは右ウイング、ソリー・マーチで、左足の巧みなボール操作術で逆サイドを走る三笘にサイドチェンジ気味のボールを送る。その瞬間の三笘の受け方が最高だった。トップスピードに乗りながらボールを右足アウトに絡ませるようなトラップ&ドリブルで30メートル以上前進。相手の2人のマーカーを文字どおり技術の粋が詰まった高級なプレーで翻弄しつつ、やすやすとCKをゲットした。拍手喝采を送りたくなるシーンだった。

 三笘にパスを送ったマーチの球さばきも高級だった。だが背番号7を背負うこのイングランド人の右ウイングには、驚くことに代表歴がない。トータルな活躍度では三笘を上回ると筆者は見ている。実際、三笘が90分未満に終わった試合が前述の通り、過去10戦で3試合であるのに対し、マーチは2試合。シーズン通算でもブライトンでナンバーワンの出場時間を誇っている。右ウイングの選手が、である。

 三笘とマーチ。ふたりが好調ブライトンを支える両輪であることに変わりはない。ウイングが主役。ロベルト・デツェルビ監督率いるブライトンのサッカーが攻撃的で、魅力的な理由とそれは密接な関係がある。

 この両ウイングより断然、世界的に有名な選手は、その間でプレーする4-2-3-1の1トップ下、10番を背負うアルゼンチン代表アレクシス・マクアリスターだ。言わずと知れたカタールW杯の優勝メンバーである。この選手も代えの利かない選手になる。

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