セリエAで優勝間近のナポリは異色のメンバー構成で戦術も魅力的 CLでは注目のダークホースだ (2ページ目)

  • 西部謙司●文 Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

【モダンで合理的なスタイル】

 2015年にマウリツィオ・サッリ監督を招聘、「サッリ・ボール」と呼ばれたパスワークとコンパクトなプレッシングでモダナイズされ、カルロ・アンチェロッティ、ジェンナーロ・ガットゥーゾを経て2021年からルチアーノ・スパレッティ監督が指揮を執っている。選手・監督の顔ぶれは変わっているが、サッリの遺産は継承されていて、スピーディーでコンパクトなスタイルは変わらない。

 現在のチームで特徴的なのが、フィジカルの強さだ。フィジカルと言ってもさまざまだが、走れて球際に強い選手を揃えている。とくにMFのロボトカ、ジエリンスキ、アンギサのトリオは、球際の強さが印象的である。3人の持ち味は少しずつ違うものの、守備面で隙をみせないのは共通している。

 FWのスピードは強烈。ロサーノ、オシムヘン、クバラツケリアの速さは抜群で、カウンターではあっという間にゴールに迫り、全員速いのでゴール前に人が足りないという状況にならない。

 フランクフルトとの第1戦では、5-4-1でコンパクトな守備ブロックを構える相手に対して、後方ではゆっくりとキープしながら、ブロック内へボールを入れた時はワンタッチパスで裏をつく攻め手を徹底して、何度もチャンスを作っていた。

 このあたりは、戦術的なタスクを実行できるチーム力を感じる。フランクフルトのコンパクトなブロック内で停滞すればボールを狩り取られるので、その手前ではゆっくりと時間をかけながら、攻め込む時は最小限の手数でゴールに迫っていた。

 3トップのスピードがあるからこその効果だが、作戦を忠実に実行する一体感と規律は、かつてのラテン気質まるだしだったマラドーナ時代とは隔世の感がある。

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