「エムバペ封じ」「メッシ対策」に指を加えたまま完敗。PSG会長は不気味に沈黙、新銀河系軍団が近々解体されるのは必至 (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

【不思議な歴史を繰り返すPSG】

 たしかに、それも一理あるだろう。

 第1戦では故障明けのFWキリアン・エムバペがベンチスタートとなり、この第2戦ではシーズン絶望の負傷を負ったFWネイマールとDFキンペンベが不在。スタメンのDFマルキーニョスとDFアクラフ・ハキミも負傷により万全ではなく、控え組もDFムキエレとMFレナト・サンチェスが負傷明け。

 DFフアン・ベルナトとMFカルロス・ソレール以外は、MFワレン・ザイール=エメリ(17歳)、ビチャーブ(17歳)、DFティモティー・ペンベレ(20歳)、MFイシュマエル・ガルビ(18歳)、FWウーゴ・エキティケ(20歳)など、ベンチに座った多くが経験の浅い若手で占められていた。

 ただ一方で、今回の敗戦を直視した場合、敗因のすべてをそこに集約することはできないだろう。

 これまでのラウンド16敗退では、ほんの少しの歯車の狂いがチーム崩壊につながってしまうという、ある種のメンタル的なもろさが原因とされることがほとんどだった。

 2016−2017の「カンプ・ノウの大惨劇」にしても、2018−2019の「マンチェスター・ユナイテッド戦の自滅」にしても、あるいは昨シーズンに起こった「サンティアゴ・ベルナベウでの逆転敗退劇」にしても、勝てるだけの実力がありながら、なぜか自ら勝利を手放してしまうという不思議な歴史を繰り返してきたのが、PSGだった。

 しかし、今回はそうではなかった。チームには明らかに勝つための実力が不足していて、ほとんど勝つ可能性を感じさせずに、為す術(すべ)なく敗れ去った。

 負傷者続出というアクシデントがあったのは、たしかだ。しかし、1点のビハインドを背負った状態で、バイエルンから逆転勝利を目指すための戦い方が「何も用意されていなかった」のも事実だった。

 たとえば、敵将ユリアン・ナーゲルスマンが準備した「エムバペ封じ」や「メッシ対策」に対して、ベンチは指を加えたまま。とりわけその傾向が顕著だった後半は、1点を失ってトータル0-2とされたあとも"攻撃のアクセル"を踏むことはできず、むしろその後に切った3枚の交代カードによって、攻撃のパワーは明らかに低下した。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る