久保建英はモウリーニョのローマと激突 日本代表選手たちが今年もヨーロッパリーグで頂点を目指す (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●撮影 photo by Nakashima Daisuke

【「低迷」とも言われるソシエダだが...】

 一方で、攻撃のひらめき、意外性、"間の取り方"にこそ、久保の真骨頂はある。特に左利き選手との連係は群を抜いている。

ミケル・メリーノ、ブライス・メンデス、アレクサンダー・セルロート、モハメド・アリ・ショーとは波長が合う。戦列復帰したオヤルサバルとも、瞬く間にいい関係性を築いている。そしてダビド・シルバとの関係性は唯一無二。直近のカディス戦は、ダビド・シルバが故障から1カ月半ぶりに復帰したが、パス交換に小気味よさがあり、簡単に相手の裏を取っていた。

 久保を中心とした"レフティコネクション"は、ローマをも苦しめるはずだ。

 ジョゼ・モウリーニョ監督が率いるローマは、堅牢な守備と効率に根差した戦い方で勝ち点を拾う。モウリーニョのチームらしく、勝負強い。徹底したリアクション戦術で、ラ・レアルを待ち受ける。
 
 ラ・レアルは、そこを攻めきれるか。最近6試合はわずか4得点。しかもそのうち3点はエスパニョール戦だから、自慢の火力はやや湿っている。敵地でのバレンシア戦などは確かに低調だった。

「危機」

 スポーツ紙は勝てなくなった不安感を煽るが、主力がケガで離脱したり、戻ってきても試合勘を失っていたり、戦力が揃わないなか、上位で堪えられていること自体が成功とも言える。

「結果や数字で言えば、低迷は明らかだろう。しかし、プレー内容は悪くなっていない。決めきるところが足りないだけだ」

 イマノル・アルグアシル監督の言葉は、強がりでも何でもない。攻守一体を武器とするラ・レアルのチームスタイルは不動。悲観する必要はないだろう。リーガ・エスパニョーラでは第24節でついにアトレティコ・マドリードに抜かれたが、今も4位をキープしている。

「自分たち自身に過度の要求をし、プレッシャーを感じるべきではない。最近は、不安を抱えてピッチに立っているところがある」

 指揮官が洩らすように、あらためて自分たちを信じられるかどうかだろう。

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