恐るべしゴンサロ・ラモス チェルシー、ベンフィカがともにポルトガル代表アタッカーの活躍でCL8強へ (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

【本格派ストライカーが本領発揮】

 チェルシーのジョアン・フェリックスに対し、ドルトムントで最も存在感を発揮していたのはイングランド代表の19歳、ジュード・ベリンガムだった。この決勝トーナメント1回戦は、ドルトムントの一員として臨む最後のCLではないか。来季はもうワンランク上のクラブでプレーしているとは、衆目の一致するところだが、このチェルシー相手にも格上感を堂々と発露させながらプレーする姿に、あらためてその将来性がうかがい知れた。

 前半終了間際、チェルシーゴール前に攻め入ったベリンガムが、攻め上がった左SBラファエル・ゲレイロに際どいラストパスを送るシーンがあった。だが、それは左利きのゲレイロにとって、シュート体勢に持ち込みにくいパスだった。タイミングを逃し、シュートを打ち損ねた時だった。ベリンガムは10歳も年上のポルトガル代表選手に「何やってるんだ!」とばかり怒鳴りつけたのである。19歳のMFがその正体を露呈させた瞬間だった。ベリンガム恐るべし、である。

 だがこの日、本当に恐ろしい怪物ぶりを発揮したのは、ベリンガムに激怒されたゲレイロと同じ、ポルトガル代表選手だった。

クラブ・ブルージュ戦で2ゴールを決めたポルトガル代表ゴンサロ・ラモス(ベンフィカ)クラブ・ブルージュ戦で2ゴールを決めたポルトガル代表ゴンサロ・ラモス(ベンフィカ)この記事に関連する写真を見る ゴンサロ・ラモス。リスボンのダ・ルスで行なわれたベンフィカ対クラブ・ブルージュで、2ゴールをマークした21歳のポルトガル代表FWだ。前半アディショナルタイム、ブルージュゴール前を対角線に走り、MFジョアン・マリオからペナルティエリアの左に開いた形でボールを受けると、ゴール前の密集地帯を深い切り返しとドリブルで抜け、右足でズドンと蹴り込んだのである。これぞ本格派ストライカーと言いたくなる迫力に満ちた堂々たる一撃だった。

 カタールW杯決勝トーナメント1回戦ポルトガル対スイス戦。彼がクリスティアーノ・ロナウドに代わってCFを張り、ハットトリックを達成したことは記憶に新しい。

 後半11分にもゴンサロ・ラモスは左足で鋭いシュートを決めている。相手は格下のブルージュながら、欧州サッカー界にとって大きなニュースであることは間違いない。何と言ってもCFだ。ベリンガムのポジションであるMFより、基本的な商品価値は高い。来季、ベンフィカを離れビッグクラブに飛び立つのか。来季の動向がいま欧州で最も注目される若手選手と言えるだろう。

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