グアルディオラ監督のマンチェスター・シティはついにCLを制覇するか。図抜けた組織力を壊しても強力な個人ハーランドを入れたチームの行方 (3ページ目)

  • 西部謙司●文 Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

【ハーランド加入の意味】

 ハーランドはU-20ワールドカップで1試合9ゴールを決めたことがある。一方的な試合でも1人で9得点はなかなかとれるものではない。得点に特化したストライカーだ。

 ハーランドの加入によってシティのバランスは崩れた。偽9番による数的優位はなくなり、全員守備もできない。それどころかゴール前以外、ハーランドはほとんどプレーに関与さえしない。ただ、点はとれる。グアルディオラ監督は誰もが得点できる体制を放棄して、誰も得点できそうもない状況でもゴールできる1人を選んだ。

 裏をつく抜群の走力、届きそうもないクロスボールに触れる能力、左足のパワフルなシュートを持つハーランドは規格外のゴールゲッター。こうした「個」を組織で封殺するのは難しい。人海戦術には人数で対抗もできるが、突出した個人に対抗できるのはそれに匹敵する個になる。CL優勝のための切り札と考えられる。

 チームの組織力では、すでにシティは頭ひとつ抜けた存在だ。その組織力を多少犠牲にしても強力な個人が必要と判断した。最もデジタル化したチームであるシティが、底知れない得点能力という、アナログな力を必要としたのは興味深い。

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プロフィール

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

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