「新銀河系軍団」PSG崩壊へのカウントダウンか。22戦無敗の快進撃から一転、カタールW杯後に何が起きた? (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

【冬の移籍市場で犯した失策】

 しかも、DFプレスネル・キンペンベ(フランス)もワールドカップ前の負傷から復帰が遅れ、年明けからはMFマルコ・ヴェラッティ(イタリア)、DFノルディ・ムキエレ(フランス)、MFレナト・サンチェス(ポルトガル)といったワールドカップ組ではない選手も代わる代わる負傷離脱した。

 さらにはバイエルン戦の前半で、ようやくトップフォームに戻りつつあったハキミも負傷交代を強いられるなど、昨年末に再開したリーグ戦から1度もベストメンバーを揃えられない状況が続いている。

 そんな苦しい台所事情に拍車をかけたのが、冬の移籍マーケットにおける"失策"だった。

 この冬にスペイン代表のMFパブロ・サラビアをウルヴス(イングランド)に放出したにもかかわらず、その代役として獲得予定だったモロッコ代表のMFハキム・ツィエクの移籍話がチェルシー側の不手際によってご破算に。インテルのDFミラン・シュクリニアルについても、獲得を試みるも金銭的な合意が得られず、結局、GKケイロル・ナバスも去った(→ノッティンガム・フォレスト/イングランド)今回のマーケットにおける新戦力はひとりもいなかった。

 それにより、たしかに負傷者が続出するなかでMFワレン・ザイール=エメリ(16歳/フランス)、DFエル・シャダイル・ビチャーブ(17歳/フランス)といった10代の逸材の出場機会は増えた。しかしチーム全体としての選手層は、明らかに低下した印象は拭えない。

 そして、クライシス最大の原因と見られるのが、ガルティエ監督の迷走ぶりだ。

 ワールドカップ前から採用し始めていた4-3-1-2でシーズンを再開したガルティエ監督だったが、再開2試合目のRCランスとの直接対決で完敗を喫すると、再び布陣を3-4-3に軌道修正。ところが、その布陣で臨んだレンヌ戦では相手が通常の4バックではなく、PSG戦用に採用した3バックで対抗されて敗戦を喫したことで、その後は自身が最も得意な4-4-2への移行を試みるも、これも失敗。

 負傷者続出によりメンバーが定まらないなかで、次々と布陣を変更したことがさらに状況を悪化させた。結局、チームは立ち返る場所を失ったまま、大一番のバイエルン戦を迎えることとなってしまったのである。

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