エムバペ、バイエルン戦途中出場でメッシ、ネイマール以上の力を再認識。PSG、敗れても第2戦へ希望 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

【エムバペ投入で形勢逆転】

 代わって入ったのはプレスネル・キンペンベ。ケガでカタールW杯を棒に振ったフランス代表のCBである。SBとCBの交代なので3バックに変更したかと思われたが、CBとして先発したマルキーニョスが玉突きで右SBにズレたことで4-4-2は維持された。

 一方、バイエルンは後半、右ウイングバックとして本領を発揮できずにいたカンセロをベンチに下げ、アルフォンソ・デービスを投入する。コマンと左右を入れ替え、左のウイングバックとして起用した。

 対峙するマルキーニョスはCBが本職だ。位置取りは低かった。その一列高い位置で構える16歳の右MF、ウォーレン・ザイール・エメリは若さなのか、その時、なぜか持ち場を離れていた。結果、左の深い位置に侵入することができたデービスは、狙いを定めてクロスボールを送り込むことができた。向かった先は逆サイドで、待ち構えていたのはコマンだった。左のウイングバックから右のウイングバックへ。高い位置で大きな展開が行なわれた。瞬間、陣形がクリスマスツリー型から脱していたことは言うまでもない。

 このクロスをコマンはダイレクトで叩く。バイエルンが決勝点となる先制点を奪った瞬間だった。それはPSGベンチが、エムバペ投入の準備を進めていた矢先でもあった。結果論で言えば、わずかに交代は遅かった、となる。エムバペ投入後、形勢が逆転しただけに、その遅れはよけいに惜しまれる。

 エムバペの力を再認識させられた試合と言ってもいい。故障で出場が危ぶまれていたにもかかわらず、違いを見せつけることができた。逆に先発したネイマール、メッシの衰えが目立つことになった。3人が対等の関係にないことがハッキリした試合でもあった。

 メッシは負傷上がりであることを考慮する必要があるが、ネイマールに大きな事情はない。バイエルンの選手との比較でもエムバペは際立っていた。試合に勝ったのはバイエルンだが、選手として最も光ったエムバペが先発出場しそうな第2戦は、バイエルンにとって厳しい戦いになることが予想される。

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