プレミアリーグはアーセナルが首位キープ。今季進化したスイス代表MFの「ポジショニング」でゴールを演出したプレーとは? (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

Answer 
ボランチ脇のスペースにあがってボールを受け、相手を引きつけてマルティネッリへパス

 スイスMFのジャカは今季、ファイナルサードでの崩しに昨季よりも積極的に関与し、好調のアーセナルのなかでも大きな存在感を放っている。このシーンでも、相手の隙を逃さないポジショニングによって、マルティネッリのチャンスを創出した。

ジャカは相手のボランチ脇のスペースにあがってパスを受け、数的優位の状況を作ったジャカは相手のボランチ脇のスペースにあがってパスを受け、数的優位の状況を作ったこの記事に関連する写真を見る 中盤の競り合いでサカが勝ってマイボールにすると、ジャカはスルスルとポジションを上げ、前の状況を見るとすぐさまウーデゴールにパスを要求した。

 この時、ウェストハムは4バック+2ボランチの6人と人数はいたが、局面を切り取るとボールサイドに5人が寄り、逆サイドはブラディミール・コーファルがマルティネッリと1対1の状況だった。

 それを見たジャカはボランチ脇のスペースに入ることで、コーファルに対して数的優位が作れると察知。ウーデゴールからパスを受けると、コーファルはジャカのミドルシュートをケアするために正面に立つしかなくなる。

 それによってフリーになった外のマルティネッリへ、ジャカが丁寧にパス。いい形でボールを受けたマルティネッリは、対峙するコーファルを巧みに外して、ニアにシュートを打ち込んだ。

 マルティネッリのドリブルとシュートのクオリティはさすがだが、それを優位な状況で作り出したジャカの起点となるポジショニングが見事なシーンだった。

【筆者プロフィール】
篠幸彦(しの・ゆきひこ)
1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の”実戦ドリル”でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

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