「ここまでのベストゲーム」だったが、結果は妥当。フランスとイングランドの間にあった大きな差 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 ボール支配率やシュート数ではイングランドが上回っていても、フランスが勝つべくして勝った印象が残るのは、そうした試合運びのうまさや、圧倒的な決め手を持つ選手を備えていることが大きいのだろう。今大会5ゴールで得点ランクのトップに立つエムバペも、この日は見せ場が少なかったが、前線でフラフラと漂っているだけでも、イングランドにとっては十分な脅威となっていたはずだ。

 もちろん、1点リードで迎えた試合終盤、DFテオ・エルナンデスが与えたPKは軽率だったと言うしかない。フランスは、これを外したケリーに助けられた面も確かにある。

 だが、それも含めて結果は妥当。フランスの順当勝ちと言っていい試合だった。

 これで2大会連続のベスト4進出を果たしたフランスは、ワールドカップ連覇まであと2勝。優勝候補筆頭と目されていたブラジルがすでに敗退したこともあって、フランス連覇の可能性は大きく高まっている。

 だが、デシャン監督は先走る周囲の声を封じるように、「今大会ベストの4チームが勝ち残った。4チームすべてに(優勝の)チャンスがある」と言い、こう語る。

「ここまでのすばらしい成果には満足しているが、水曜日(準決勝)はまた新たな挑戦になる。今は水曜日のゲームに集中する」

 前回王者が評判どおりの強さを見せつけ、難敵を退けた。

【著者プロフィール】浅田真樹(あさだ・まさき)
フリーライター。1967生まれ、新潟県出身。サッカーのW杯取材は1994年アメリカ大会以来、2022年カタール大会で8回目。夏季五輪取材は1996年アトランタ大会以来、2020年東京大会で7回目。その他、育成年代の大会でも、U-20W杯は9大会、U-17W杯は8大会を取材している。現在、webスポルティーバをはじめとするウェブサイトの他、スポーツ総合誌、サッカー専門誌などに寄稿している。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る