バルセロナとスペインの中心、 ブスケツのすごさは「別次元の正確性」と風間八宏 。日本は彼のプレーをどう狂わせるのか? (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

日本はブスケツを動かすことができるか

 ただ、何もしなければブスケツを自由にしてしまう可能性がある。日本としては、そういった試合展開だけは避けたいところだが、果たして、ほかに対策は考えられるのか。

「端的に言えば、ブスケツに動かされるのではなく、ブスケツを動かせるかどうかが、最大のポイントになると思います。

 彼はいつもチームの真ん中で全体を見て、最適なポジションに立ち続けたい選手なので、逆に 日本がスペインのヘソを動かして、相手のかたちを崩すのが、ブスケツを抑え 込むことに直結するはずです。

 そのためには、たとえば日本がスペインのセンターバックを攻撃して、ラインを下げさせてしまうのが、まずひとつ。それによって、ブスケツもポジションを下げざるを得なくなるはずです。あるいは、ブスケツの周辺から彼の背後を狙うことでも、ブスケツを動かせると思います。

 ただし、それを実行するのは簡単ではありません。そもそも、チームとしてボールを保持する時間を長くできなければ、結局はブスケツに動かされる時間が長くなって、劣勢を強いられてしまいます。

 理想としては、ボール支配率で五分五分を目指したいところですが、少なくとも45%対55%には持ち込みたい。40%対60%では、厳しい展開になるのではないでしょうか」

 カタールW杯で、日本がグループリーグを突破できるかどうかが決まる大事な第3戦。日本がブスケツをどのようにして動かせるかが、スペイン戦の勝敗を左右するキーポイントになりそうだ。

セルヒオ・ブスケツ 
Sergio Busquets Burgos/1988年7月16日生まれ。スペイン・バルセロナ県サバデル出身。バルセロナの育成組織から2008-09シーズンにトップチームデビュー。以降長年中盤のレギュラーとしてチームを支え、ラ・リーガ、チャンピオンズリーグなど数々のタイトル獲得に貢献。今季15シーズン目を迎える。スペイン代表には2009年にデビュー。こちらでもチームの黄金期を支え、2010年南アフリカW杯やユーロ2012優勝を経験。国際Aマッチ出場は120試合以上を誇る。

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風間八宏 
かざま・やひろ/1961年10月16日生まれ。静岡県出身。清水市立商業(当時)、筑波大学と進み、ドイツで5シーズンプレーしたのち、帰国後はマツダSC(サンフレッチェ広島の前身)に入り、Jリーグでは1994年サントリーシリーズの優勝に中心選手として貢献した。引退後は桐蔭横浜大学、筑波大学、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。各チームで技術力にあふれたサッカーを展開する。現在はセレッソ大阪アカデミーの技術委員長を務めつつ、全国でサッカー選手指導、サッカーコーチの指導に携わっている。

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