バルセロナとスペインの中心、 ブスケツのすごさは「別次元の正確性」と風間八宏 。日本は彼のプレーをどう狂わせるのか?

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

風間八宏のサッカー深堀りSTYLE

第18回:セルヒオ・ブスケツ(バルセロナ/スペイン)

独自の技術論で、サッカー界に大きな影響を与えている風間八宏氏が、国内外のトップクラスの選手のテクニック、戦術を深く解説。今回も、カタールW杯で日本が警戒すべき対戦相手を取り上げる。バルセロナのレギュラーとして、15シーズン目をプレーするスペイン代表のセルヒオ・ブスケツだ。中盤の底に長年君臨する、彼の特別な能力に注目する。

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別次元の正確性とポジショニング

 2010年南アフリカW杯で世界の頂点に立ったスペイン代表"ラ・ロハ"。あれから12年もの月日が流れるなかでチームの世代交代は進んだが、現在もチームの中心として活躍している唯一の選手が、司令塔セルヒオ・ブスケツだ。

バルセロナ、スペイン代表の中盤を支え続けている、セルヒオ・ブスケツバルセロナ、スペイン代表の中盤を支え続けている、セルヒオ・ブスケツこの記事に関連する写真を見る いわゆるチームのヘソにあたるピボーテ(ワンボランチ)としては、34歳になった現在もいまだに世界最高水準のパフォーマンスを維持しており、スペイン代表を率いるルイス・エンリケ監督も、バルセロナのシャビ・エルナンデス監督も、ブスケツを中心としたチーム作りを進めているのが実情だ。

 バルセロナの下部組織で育ち、2008-09シーズンにトップデビューを飾ったブスケツは、すぐにスペイン代表としてもデビュー。ビセンテ・デル・ボスケ監督が率いるチームの重要戦力として2010年にW杯を制し、2012年にはユーロ連覇に大きく貢献。これまで、代表でもバルセロナでも、絶対に欠くことのできない選手として第一線で活躍してきた。

 カタールW杯のグループ第3戦でスペインと対戦する 日本が最も警戒すべき選手になるが、果たして風間八宏氏は、ブスケツをどのような選手として分析しているのか。まずはその特長を解説してもらった。

「まず彼のプレーの大前提となっているのが、"ボールを止める、蹴る"という基本が別次元のレベルで正確であることです。その高い技術があるからこそ、相手を操り、チーム全体を動かせる。時間や空間を自在に操作できます。

 ボールを止めてから蹴るまでの速さもそうですが、たとえば相手からボールを奪ってからパスを出すまでの時間も短くて、すべての動作がスムーズ で速い。しかも、一手だけでなく、その先も読んでプレーする"目"も持っているので、相手にとってはこれほど厄介な選手はいません。

 そのうえで、彼の最大の特長と言えるのが、ポジショニングです。つねに全体が見える位置に立ち続けるにもかかわらず、決して動きすぎない。止まっていても相手を動かせますし、味方を動かして使えるという、特殊な才能を持っています。当然ですが、味方からパスを受ける時のポジショニングもうまい。長年にわたってチームのヘソとして活躍できているのは、そういった特別な能力があるからだと思います」

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