日本代表主将・吉田麻也のパフォーマンスに不安の声。シャルケはついに最下位転落、実際のプレー内容は? (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by picture alliance/AFLO

「吉田のスピードを補う選手が必要」

 直近のヘルタとのアウェー戦では、試合終盤に追いついたものの、再び引き離され、2-1で敗れた。主要な地元紙である『WAZ』は、GKアレクサンダー・シュヴォロウとCBのヘニング・マトリチャーニに5点をつけ、もうひとりのCBセドリック・ブルナーに4点をつけたが、吉田にはこの日の先発陣で最高の3.5点をつけている。一方、『キッカー』誌はGKに5点、マトリチャーニとブルナーに4点、吉田には同3.5点をつけていた(ドイツメディアの採点は最高が1、最低は6)。

 プレーを見ても、たとえばこのヘルタ戦では、前半5分にヘルタのドディ・リュケバキオが右からクロスを入れるが、中央に走り込むウィルフリード・カンガに吉田がピタリとついていたため、カンガは無理な体勢からのシュートを強いられた。10分、中央を突破しようとするリュケバキオを最終的に止めたのも吉田だった。後半も3度ほど空中戦に競り勝ち、ピンチを未然に防いでもいる。ピンチにさらされる回数が多いぶん、決定的な仕事もしているのだ。

 一方で、吉田のスピードのなさは若い頃から指摘されるところだ。シャルケでもその点は変わらないのは事実で、相手FWに置いていかれるシーンもあった。それについてはチーム内で対策会議が行なわれたという報道もあった。

 シャルケファンで知られるドイツの評論家フランツ・マイク氏は「吉田は経験もあり、サッカーを知っているが、彼のスピードを補うプレーヤーが必要。板倉滉(ボルシアMG)を懐かしく思う。彼はスピードとダイナミズムを持ったすばらしい選手だった」と、吉田のクオリティを認めながらも、その指摘は痛いところを突いてくる。

 相手に簡単に抜かれたり、裏を取られて追いかけているというようなシーンは、失点シーンを切り抜いたハイライト映像だとどうしても目立ってしまうのだろう。ただ、そのぶんを差し引いても、吉田がチームのディフェンスリーダーであることに変わりはなく、むしろ周囲がどうサポートするかが問われているのが今のシャルケだ。

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