田中碧はボランチ→トップ下で意識が変わった。「ゴールやアシストといった数字は求めないといけない」 (2ページ目)

  • 鈴木智貴●取材・文 text by Suzuki Toshiki
  • photo by AFLO

データが示す先制点の重要度

 その発言に依拠し、今季ここまでの公式戦を調べてみると、実際に先制点を奪った試合の成績は6勝1分。ひるがえって相手に均衡を破られた場合は5敗1分と、勝率は0パーセントにまで落ち込む。

 そして今回も、勝敗の帰趨を決めたのは先制点だった。試合後、「(デュッセルドルフの)守備は基本的に堅いんで、守ろうと思えば守れる」と前置きしつつ、田中はあらためて自チームが先にネットを揺らすことの重要さを語った。

「周りがどう感じているかはわからないですけど、僕はこのチームは特に先制点を取らなければ勝てないチームなのかなって。(先制)点を取ることで相手が必然的にオープンになって、2点目を取るチャンスが増える。だから、先制点っていうのはすごく肝なのかなと思います」

 レーゲンスブルク戦で田中に与えられた場所はトップ下。このポジションで起用されるのも、もはや目新しいことではない。デュッセルドルフにおける現在の田中は、純粋な守備的MFというよりも、攻撃的タスクを多く任せられる中盤の選手、という認識に変わってきたのだろうか。

「試合(の内容)にもよるんですけど、このリーグ的にやっぱり勢いがあるじゃないですか。そうなった時に、自分があそこ(ボランチのポジション)で(ボールを)受けて(相手のプレスを)はがせればいいですけど。結局、基本的には真ん中を経由しなくて。

 サイドから大回りに行くぶん、今日みたいな時は1個前に(トップ下の位置に)いれば、勝手にボールが来る。そこの、自分がやりたいことと、自分がいかに貢献できるかっていうところの使い分けは、すごく重要だなって思います。

 あんまり自分の流れじゃない時に、どうやって輝くかっていうのは、より考えないといけないと思います。あそこ(トップ下)をやるぶん、だからこそゴールとかアシストとか(の成績を残す必要がある)。アシストの前はもちろん、それはそれで大事ですけど、最終的にシーズン終わった時の数字っていうのは、やっぱり自分の自信にもなるだろうし、そこは求めないといけないなと思いますね」

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