シャビ監督、クラシコの結果次第で窮地に。自ら説いたバルサイズムを放棄したのか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

 ところが、冒頭に記したように、オフに大金を叩き、ワールドクラスの選手を獲得することに解決策を見つけ出そうとしたのである。確かに得点力は上がったし、守備の強度も高まった。しかし、バルサらしさは確実に薄まっている。たとえば、セルヒオ・ブスケツの後継者とすべきニコ・ゴンサレスを放出し、技術レベルの低いフランク・ケシエを獲得する意味はあったのか。

 件のインテル戦で、レヴァンドフスキは"新バルサの旗手"だった。クロスをヘディングで狙い、跳ね返りを左足のダイレクトでネットを揺らし、エリック・ガルシアのアーリークロスに対して、ファーでマークを外して豪快なヘディングで放り込んだ。世界的ストライカーとして、感服させるゴールシーンだった。

 ただ、バルサ本来の色気が漂うパス回しは影を潜めている。これは由々しき事態である。バルサがバルサでなくなる。それはグループリーグ敗退以上に重い事実だ。

「クラシコには切り替えて臨む」

 シャビは言うが、その先に何があるのか。

 10月16日、バルサは宿敵レアル・マドリードの本拠地サンティアゴ・ベルナベウに乗り込み、クラシコを戦う。両者は同勝ち点で首位を争っており、今季序盤の天王山となるだろう。敗れた場合、シャビは窮地に立たされることになる。

 あるいは、選手だったほうが、チームを救えたかもしれない。

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