試合を決めた久保建英と堂安律。明暗が分かれたヨーロッパリーグの日本代表選手たち (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamoro/MUTSUFOTOGRAFIA

右サイドを支配していた堂安律

 ただし、ヨーロッパの舞台に出てくるチームは曲者ばかりで、1-0のリードから一度は追いつかれてしまう。そこからが久保の真骨頂だった。

 80分、ハイラインの相手との攻防から裏に走り出してパスを呼び込む。猛然とゴールへ向かうと、最後は迫ってきた相手ディフェンスの股を抜くラストパス。華麗な一撃で、セルロートの決勝ゴールをアシストした。アイデア、判断力、そして技術と完璧だった。

 その後、久保は4-3-3の右サイドでプレーしている。相手のサイドからの攻撃をしっかり防ぎながら、自陣からのドリブルで敵陣を駆け抜け、ミドルで脅かすなど、老獪さ、剛胆さを感じさせるプレーだった。アディショナルタイムに、ブライス・メンデスが左から折り返したパスを左足でシュートするも右に逸れた場面は、彼の技術ならゴールに流し込みたかったが......。

「久保のすばらしいアシストをセルロートが決め、黄金の勝ち点3をもたらした」

 大手スポーツ紙『アス』は、2-1での勝利の殊勲者に久保を挙げている。

「追いつかれたあと、最悪の事態も考えられたが、久保が偉大なパスでセルロートのゴールをお膳立てした」

 また大手スポーツ紙『マルカ』も、セルロートと並び久保にチーム最高の二つ星(0-3の4段階評価)をつけた。

 一方、堂安のプレーも質が高かった。

 ギリシャのオリンピアコス戦、堂安は先発で出場すると右サイドに入った。開始早々、相手を置き去りにした後、背後からファウルを受けると、そこで得たFKから先制に成功。その後もワンツーからドリブルで割って入ったり、ドリブルでふたりを外したあとに強烈な左足シュートを放ったり、右で幅を作って攻撃を促したり、右サイドを中心に試合を支配した。

 プレー強度の高さは、攻撃だけでなく守備でも顕著だった。

 敵のカウンターの場面ではいち早く帰陣し、攻め手を封じた。また、味方と連携して挟み込み、何度もボールを奪い返していた。相手にほとんど手を出させず、3-0と勝利を飾ることができたのは、エネルギッシュだった彼の貢献が大きいだろう。69分にはベンチに下がっている(その後、負傷したとの情報があり、心配される)。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る