今季プレミアリーグの大注目選手を英国人記者が選定。「ビッグクラブが欲しがる新鋭」「極上のスキルと創造性を備える」MF&FW6人 (2ページ目)

  • オリバー・ケイ●文 text by Oliver Kay
  • 井川洋一●翻訳 translation by Igawa Yoichi

23歳の元神童と仕事人

MF/マルティン・ウーデゴール(アーセナル)

 今季開幕前にマルティン・ウーデゴールがアーセナルの新キャプテンに選ばれた時、驚いた人もいれば、不憫に感じた人もいたはずだ。なぜなら近年のガナーズの主将は、負傷や不調に悩まされたり、ピエール=エメリク・オーバメヤン(現バルセロナ)のように指揮官の構想から外れてしまったりした者がいるからだ。

 だがウーデゴールはその例に倣うことなく、喜んで責任を受け入れ、開幕3連勝を記録したチームを牽引。もとより才能に疑いはなかったものの、今の彼には自信と決意が漲っており、ひと皮剥けた印象だ。

 とくに第3節のボーンマス戦は、ウーデゴールの独り舞台とも言えるものだった。序盤に2得点を挙げて完全に流れを引き寄せると、74分に退くまで中盤に大きな影響を与え続けていた。

 15歳でノルウェー代表にデビューし、16歳でレアル・マドリードに引き抜かれた早熟の異才が、ロンドンで本格化の時を迎えている。まだ23歳ながら、クラブと代表の主将を務める元神童から目が離せない。

MF/ジャック・ハリソン(リーズ・ユナイテッド)

 カタールW杯に向けてガレス・サウスゲイト監督の構想が固まりつつあるイングランド代表の攻撃陣に、風穴を開ける可能性を持つアタッカーだ。馬力のあるドリブルで一心不乱にゴールを目指す様は、ミッションに忠実な仕事人のようでもある。

 11月20日──カタールW杯の開幕日──に26歳となるが、代表にはまだ一度も呼ばれたことがない遅咲きの選手だ。10代で渡米し、ニューヨーク・シティからマンチェスター・シティに移籍したのが21歳の頃。2018-19シーズンからリーズにローンで加わり、昨季開幕前に正式契約を結んだ。

 マルセロ・ビエルサ前監督の下で大きく成長した一方、多くの仲間と同様に昨季は疲弊した。だがジェシー・マーシュ新監督が招聘されても主力の座を維持し、最終節のブレントフォード戦では後半アディショナルタイムに決勝点をマークして、劇的にチームを残留に導いている。

 今季はパフォーマンスのレベルをさらに上げており、全3試合でひとつずつアシストを記録。直近のチェルシー戦では、ダメ押しのゴールも決めている。この好調を維持すれば、サウスゲイト代表監督にとってもうれしい頭痛の種となりそうだ。

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