メッシの相変わらずの異次元ぶりを風間八宏が解説。「ボールを運ぶ時と蹴る時が同じかたち」「全部の技術を成功させてしまう」

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

風間八宏のサッカー深堀りSTYLE

第9回:リオネル・メッシ(パリ・サンジェルマン/アルゼンチン)

独自の技術論で、サッカー界に大きな影響を与えている風間八宏氏が、国内外のトップクラスの選手のテクニック、戦術を深く解説。第9回は、35歳になったリオネル・メッシのプレーを深掘り。これまで数々の栄光を築くもととなった、「異次元のレベル」という彼の技術について明かしてもらった。

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技術と速さは相変わらず異次元のレベル

 17歳でトップデビューを飾って以来、バルセロナで数々の金字塔を打ち立ててきたアルゼンチンの至宝、リオネル・メッシ。サッカー選手として最高の栄誉とされるバロンドールを史上最多の7回も獲得した生きるレジェンドも、現在は35歳になった。

メッシの技術は「相変わらず異次元のレベル」と風間氏メッシの技術は「相変わらず異次元のレベル」と風間氏この記事に関連する写真を見る まるで"プレイステーション"と表現されるほどキレキレだった20代の頃と比べて、最近のメッシのプレーはどのように変化しているのか。風間八宏氏が解説してくれた。

「もちろん、以前のように単独ドリブルによって次々と相手を剥がすシーンは減っていますが、それでもプレーのひとつひとつをよく見てみれば、技術と速さは相変わらず異次元のレベルであることがわかると思います。

 まず、メッシのドリブルはボールが体から絶対に離れません。しかも、前傾姿勢を保ちながら緩急もつけられるので、相手はメッシの懐に飛び込むタイミングをつかめないし、次に何をしてくるのか予測もつかない。

 そして、ルカ・モドリッチのドリブルの時にも話しましたが、メッシのドリブルも、右に行っても左に行っても、常に自分の体の正面でボールが縦回転しています。その正確性こそがドリブルの速さの正体で、しかもメッシは足首だけでボールの方向を変えられる。モドリッチよりも確実にワンランク上ですね」

 そんなメッシの怪物ぶりは、通算ゴール数にも表れている。これまで所属クラブと代表チームでマークした公式戦の総ゴール数は、すでに750ゴール以上。尋常ではないその数字の裏には、どんなシュート技術が潜んでいるのか。

 風間氏は、メッシならではの特長と技術について、次のように分析してくれた。

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