ナポリを完封。長友佑都のユニフォームがインテルで一番売れる理由

  • マッテオ・ブレーガ●文 text by Matteo Brega 利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 インドネシア人のエリック・トヒル会長も長友に他の選手とは一種異なった特別な親しみを感じているようだ。トヒル会長は長友の才能、仕事に対する真摯な態度、日々監督の要求に最大限に応えようと努力していることなどを例にあげて、彼を賞賛している。とにかく長友の契約更新は誰にとっても有益なものとなった。

 しかし、ここまでこぎつけるには時間がかり、その道は決して平坦ではなかった。今シーズン初めの長友の状況は今とは180度異なっていた。長友とインテルの契約は2016年の6月までであったため、インテルはそれより前に彼をどこかのチームに売るつもりであった。契約が切れてしまえばインテルに移籍金は全く入らなくなってしまうからだ。

 そのためロベルト・マンチーニ監督の構想の中に彼は入っておらず、開幕後も長くベンチを温める日が続いた。しかし長友はそれに不平を漏らすでもなく、いつも通りの、いやいつも以上の熱心さで練習に汗を流していた。彼のもとにはイタリア内外の多くのチームからオファーが寄せられたが、長友はそれもことごとく断った。彼はどうしてもインテルを去る気になれなかったのだ。

 そんな長友の姿勢がマンチーニの気持ちを少しずつ変えていった。そして試しに長友を使ってみると、彼は見事にその期待に応える働きを見せた。すべては日々怠ることのなかった練習の成果である。こうして長友はまたピッチに戻り、契約更新の噂も出るようになってきた。

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