再び走り始めた岡崎慎司。ハリルホジッチと運命の出会い (2ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei photo by AP/AFLO

 ただ、岡崎自身は自分が警戒されるのは、結局のところ自分が周りを活かせていないからだと考えていた。「自分一人で警戒を緩めるっていうのはできないけど、チームがうまいこと回れば、絶対自分へのマークは緩むと思う」と、岡崎は語っていた。

 それと同時に、岡崎は「ゴールを決めないと、いる意味がない」という葛藤も抱えていた。昨季マインツに移籍すると、トゥヘル、そして後任のヒュルマンド両監督からCFのポジションを与えられた岡崎は、「点を取ることに集中させてくれる」こともあって15点ものゴールを奪うことができた。

 そのことはもちろん岡崎にとって大きな自信になったが、得点に専念するためにゴール前に張ったことで運動量は減り、周りのカバーなどでのチームへの貢献ができなくなっているのではないかという想いもあった。シュツットガルト時代には献身的に動き回り、そのうえでゴールを奪うことを考えていたが、マインツではそうではない。だからこそ自分の存在価値を示すためにも得点にはよりこだわるようになったが、「これからまた違うサッカーに変わった時に、自分が動けなくなったら終わり。このままじゃいけない」という想いは消えなかった。

 その意味でも、2月にあった今季2度目の監督交代は岡崎にとってひとつのきっかけになったのかもしれない。シュミット新監督はリアクション主体の素早い切り換えを求める監督だ。激しい運動量を求められたこともあって、岡崎の走行距離とスプリント回数はともに増加した。

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