開幕直前。ブンデス日本人選手11人への期待度 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 とはいえ右SBは内田に代わる存在がいるわけでもなく、チームからの期待は依然として大きい。獲得が噂されていたフランクフルトのユングは今季からボルフスブルクでプレイすることが決定しており、8月中に補強の見込みもない。

 チーム全体を見ても、ケラー監督は大きなメンバー変更を考えていないようだ。マインツからカメルーン代表FWチュポモティン、レバークーゼンから快速ウイングのサムを獲得したが、逆にDFパパドプロスがレバークーゼンへ移籍した。不安定な最終ラインに強さと安定感をもたらしていたCBの放出は吉と出るか凶と出るか。ちなみにドイツ杯ではすでに2部のドレスデンに敗れている。チャンピオンズリーグも戦う過密日程を避けられるという意味では、悪くはないのかもしれない。

 昨季7位フィニッシュのマインツは厳しいスタートになった。国内では楽観論が漂っていたヨーロッパリーグのプレイオフでは、アステラス・トリポリス(ギリシャ)に敗れて敗退決定。さらにドイツ杯でもケムニッツに敗れてしまい、早くもブンデスリーガしか残っていない状況だ。つまずきの一因とされるのは、中盤から最終ラインに新戦力が多いだけでなく、5シーズン指揮をとったトゥヘル監督もチームを去ったこと。今季から指揮をとるのはデンマークリーグで優勝経験のあるデンマーク人のヒュルマンド。昨季までは試合の主導権を握るというよりも、知将の分析を元に相手に合わせた戦いをし、基本的にはカウンターで点を取るチームだった。そのスタイルの変更に手こずっているのかもしれない。

 岡崎慎司もそのカウンターの中で生かされ、昨季は15得点をあげた。FWチュポモティンの放出もあり、前線のコンビネーションが変わる中でどこまでボールを引き出せるか。MFク・ジャチョル、パク・チュホという韓国人選手との意思疎通も重要な要素になるかもしれない。

 昨季10位のハノーバーでは、酒井宏樹に加えて、今季からロンドン五輪代表のチームメイトだった清武弘嗣が加わった。先週末のドイツ杯を見ても、先発する新加入選手はFWジョゼルくらいのもの。酒井のライバルだった元アメリカ代表チェルンドロはケガに泣かされたまま現役を引退した。どうやら酒井は右SBの先発候補と言ってよさそうだが、清武は右太ももを負傷し、ドイツ杯ではベンチ入りもしていなかった。

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