ルーキー時代のメッシが語っていた独特のアルゼンチン愛

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

小宮良之のブラジル蹴球紀行(8)

 有力選手にインタビューした後というのは、一種の感動に痺(しび)れるものだ。

 イケル・カシージャス、サミュエル・エトー、リバウド、アンドレス・イニエスタ、シャビ・エルナンデス、シャビ・アロンソ、サンティアゴ・ソラーリ、カルレス・プジョル、ジャウミーニャ、ファン・カルロス・バレロン、マウロ・シルバ、ヌールディン・ナイベト、バレリー・カルピン、アレクサンダー・モストボイ、サボ・ミロシェビッチ、ホセバ・エチェベリア、ダビド・アルベルダ、パブロ・アイマール、フェルナンド・ジョレンテ......彼らのインタビューは"自分の財産"と胸を張れる。

 ところが、当時ルーキーとして台頭しつつあったリオネル・メッシと話したとき、期待していた感動は得られなかった。

イラン戦で決勝ゴールをあげたメッシ(アルゼンチン)イラン戦で決勝ゴールをあげたメッシ(アルゼンチン) 私のアンテナの感度が鈍かったのかもしれない。あるいは、インタビュアーとして決定的なミスを犯したのかもしれない。しかし、選手というのは一流になればなるほど寛大なものだ。リバウドは無理なポーズの撮影も快く引き受けてくれたし、ジョレンテは親しげに日本のことを聞いてきた。自然と好感を持てるわけで、つまりはコミュニケーション力に優れているのだ。

 しかしメッシはどこか人を拒絶したところがあって、必要以上に恥ずかしがり屋で内向的だった。

 それでもいくつか分かったことがある。

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