降格目前のニュルンベルク。清武弘嗣、長谷部誠の来季は? (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

 清武弘嗣は、ある意味でこの残留争いを見越していたようなところがある。3月の4連敗目の試合となったフランクフルト戦後には、「4連敗かあ。考えてなかった......」と言いながら、その心境を口にしている。

「残留争いって、本当に精神的にきついなと思います。俺、大分時代にもそういうのは経験しているんですけど、その時は若手で主力じゃなかった。25試合 出たんですけで、途中(出場)ばっかりで、『ああ、落ちちゃったな』みたいな感じだったんです。今回はずっと出ている中でのことですから、しんどいですね。(大分では)生え抜きだし、落ちたくないという気持ちもあったのですが、自分が絡んでないぶん、どこかでナアナアというか、気持ち的に逃げていたんだと思います。だけど今は主力で出てるいから逃げられない。だからやばいですね」

 続くシュツットガルトとの下位対決を制したときには、「直接対決に勝つことが大事。この先は精神的な勝負だと思います」と語っていたのだが......。

 清武自身のプレイについていえば、試合でシュートの数が少ないこと、特に打てそうな場面で打たないことでブーイングを浴びるケースが多い。どのようなシステムでも、ほとんどがトップ下でプレイする清武は、前線で動き出し、守備に走り、パスを供給し、常に走り回っている。FWドルミッチが決めた16ゴールは清武なくしてはあり得なかったはずだ。だがドイツではゴールに直結するプレイが見られないとすぐに厳しい評価が下る。メディアの採点も厳しくなる。

 気になるのは仮に降格した場合の来季の去就でもある。ビルト紙を始め、各紙は長谷部誠と清武を放出候補に並べている。高額の年俸を払いきれないだろうというのがその根拠である。

 そんな中、長谷部は先週、「降格してもチームに残りたい」 という希望を口にしている。年齢的なことや今季の出場時間、負傷を繰り返していることなどを考えると、長谷部の移籍は厳しいと見るのが自然だ。ニュルンベルク残留も、条件的な妥協を要するだろうが、ない話ではない。

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