マンUモイーズの中での香川真司の優先順位はけっして低くない (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Yoshiko Ryokai
  • photo by Getty Images

 香川自身のチャンスもあった。前半25分にマタのスルーパスを受け左足でシュート。だが、これは相手GKの正面をついてしまう。
 
 マンUは前半のうちにルーニーがもう1点を加えて試合を折り返す。だが、後半に入ると一転、前半の躍動感は消え、相手に攻め込まれる場面が増えてくる。正直なところ、後半はこれまでのマンUと変わらなかった。昨季までであれば、リードして守備的になっても守りきれた。だが今季はそれも難しいのが現実で、この試合でも嫌なムードが漂ったが、この日は守りきって2-0で試合を終えた。

 香川は後半に入ると、前線へ出て行く力がなくなり、シュートも打てなくなった。途中、マタとルーニーが抜けウェルベックとエルナンデスが入ったことで、いわゆるトップ下に入ったが、前半の輝きはなかった。

 常日頃から「結果を出したい」と口にするのであれば、もう少しシュートや、もしくは高い位置でアシストにつながるプレイが欲しいところだ。そして体力もつけていいかなければならない。この日の90分を見ると、実戦から長く離れた代償は小さくない。

 とはいえ、他にもナニやエルナンデスといった複数の"飼い殺し"状態の選手がいることを考えると、モイーズの中での香川の優先順位がけっして低くないことが透けて見えた。そのモイーズは試合後に「マタは素晴らしく、シンジは優れていた。残念なのは作ったチャンスをもっと決められたということだ」と語った。やはり重要なのは得点で、得点を決めさえすれば大きなアピールにもなった、ということだ。

 マンUは中2日でマンチェスターダービーが待ち受けている。ルーニーは「選手にとってもファンにとっても明らかなビッグマッチ」と気合いを見せた。ファン・ペルシーが復帰しなければ、香川を使った今日のような戦い方もあるだろう。

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