早熟の天才セードルフ。こんな変わり者に監督をやらせるのはミランしかない (4ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper
  • 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 セードルフが代表でプレイすると、身内以外からはひどい言葉を浴びせられた。ほとんどが白人の代表サポーターにやじられる息子を見て、母はスタンドで泣いた。セードルフ自身、ある年のクリスマスにオランダ国民に向けて詩を書こうとまで考えた(彼は話すことだけでは満足せず、いつも詩や歌など別のコミュニケーション手段を考える)。

 2004年、セードルフはついにオランダ代表を追い出される。代表監督だったマルコ・ファン・バステンはその後数試合だけセードルフを復帰させたが、試合終了間際の86分の交替要員といった扱いだった。

 長い年月がかかったものの、最近になってオランダ人はようやくセードルフを受け入れはじめた。今ではオランダの人間国宝のような存在になろうとしている。

続きを読む>>

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る