開幕戦でバイエルンとグアルディオラが見せた末恐ろしいまでの可能性 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by GettyImages

 昨季までの4-2-3-1では、シュバインシュタイガーと、誰かしら守備とバランスに重きを置く選手を組ませることで、守備面の安定を図っていた。どちらかといえば守備よりも、攻撃参加やリズムに変化をつけるプレイに特徴のあるシュバインシュタイガーを1ボランチに置くことは諸刃の剣だが、開幕戦でのトライには驚かされる。

 事実、バイエルンはロッベンとマンジュキッチのゴールで2点を先制したものの、その後は攻められた。特にボランチの脇を上手く使われ、サイドからのクロスに苦しむことになる。ダンテのオウンゴールも、左からのクロスをクリアし切れずに生まれたものだ。

 それでも後半にはアラバが追加点を決めて突き放し、3-1で試合を終えることとなった。試合終盤には、シュバインシュタイガーに替えキルヒホフを投入。さらには右SBのラームをボランチに上げ、右SBにはラフィーニャを入れた。前線をいじるのではなく、中盤の構成を変えることで安定感をもたらし、試合を無事に締めくくった。

 試合後のグアルディオラは、途中、広報担当者にいくつかの単語を確認しながら、ほぼ完璧にマスターした流暢なドイツ語で記者会見を行なった。

「難しい試合になることは、はじめからわかりきっていた。グラットバッハ(ボルシアMG)戦はいつだって難しい。後半の立ち上がり15分間は主導権を失っていた。初勝利に満足はしているが、自信をつけるには、あと何勝か必要だ」(公式サイトより)

 守備の枚数が足りないこともあり、安定感を欠いたように見えたが、指揮官はそこには言及しなかった。おそらくそんなことは織り込み済み。ブンデスリーガでこの戦いが通用することを実感したのだろう。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る