浦和レッズは前評判どおり優勝候補筆頭なのか?「2試合を終えて、みんなの期待を裏切る形になっている」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 布陣の特性を生かすべく、両ウイングはライン際に開いて構えるのが基本なのだとしても、そこまでボールが届かないのでは、相手に脅威を与えられるはずもない。これではウイングにヴィニシウス・ジュニオールがいようと、三笘薫がいようと、ゴールするのは簡単ではない。

 東京Vが浦和の狙いを分析したうえで、コンパクトなブロックでうまく守ったという側面はあるにしても、浦和にはそれを破るための工夫が見られなかったことも確かだ。

「もちろん(チームの)戦術には従わなければならないが、ベーシックなこと、たとえば、(DFラインの)裏に走るというようなことを忘れてはいけない。特に相手(の守備)がタイトで、何かを作れない時にはそれが必要になる」

 ショルツがそう振り返ったとおりである。

 アンカーを務めるグスタフソンもまた、「(コンパクトな守備を破るためには)相手をもっと間延びさせること。そのためには裏に抜ける走りが必要だった」と、同様の課題を口にした。

 浦和の新たな船出は、順風満帆どころか、心もとないものになったと言うしかない。

 とはいえ、今季J1はまだ開幕から2節を終えたばかり。ショルツの言葉を借りれば、「我々は新しいコーチの下で、新しいアイデアを学ぼうとしているところ」である。このままではダメだと結論を下すのは、時期尚早だろう。

 思えば、新たにマチェイ・スコルジャ監督が就任した昨季も、浦和はスタートで躓き、開幕2連敗。だが、新監督の下で安定した守備を手に入れるや、5月にはAFCチャンピオンズリーグを制し、その後はJ1でも優勝争いに割って入ろうかという勢いを見せている。

 選手のコメントを聞いていても、ヘグモ監督が自らの志向する戦術で選手を縛ろうとする様子はうかがえない。むしろ、選手が新戦術に適応しようと意識するあまり、硬直化した状態に陥っている、というのが現状なのだろう。

 実際、東京V戦の後半では、ポジションの入れ替えと選手交代をきっかけに選手の立ち位置に動きが生まれると、特に左サイドで攻撃が活性化されている。

 ショルツは、「この試合を(修正して)よりよくできなかったことは恥ずかしい」とつけ加えながらも、「これから数週間で、改善した姿を見せられると思う」と、今後に自信をうかがわせる。解決の糸口が見つけられずにいた難解なパズルも、選手の適性の見極めや選手間の意思疎通が進めば、一気に解けてしまう可能性は十分にあるはずだ。

 今季J1の優勝候補は、期待を裏切っているのか――。その答えを出すのは、もう少し先でいい。

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