中谷進之介が移籍した理由、ガンバ大阪の救世主となるか 失点の多かったチームで「センターバックとしての真価を試される」 (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa

 ダニのサッカーでは、ボールを持ちながら前進することで守備のリスクを減らすという狙いが第一にあるので、まずはそのサッカーをピッチに立つ全員が自信を持ってやれるかが肝になってくるし、そのためのコンパクトな陣形は不可欠だと考えています」

 また、相手も策を講じてくるなかでは、常に自分たちが主導権を握って進められる時間帯ばかりではないからこそ、チームとして意思統一を図ることの大切さを強調した。

「昨年のガンバとの対戦を思い返すと、試合のなかですごく間伸びしていく感じがあったし、それは他の試合を見ていてもしかりで......。そうなると、攻守にどっちつかずの展開になって、結局やりたいことの半分もできなかった、ということになりかねない。

 だからこそ、チーム全体での意思統一はすごく大事になると思っています。前線の選手は攻撃に行きたい、でも、後ろの選手は失点するのが怖いからラインを上げられない、ではなく、(攻撃に)行くなら、後ろも思いきってラインを上げて全員でトライするべきだし、行けないなら全員で割りきって下がってリトリートすることも必要になる。

 そういった意思統一をしながら試合を進めるためにも、お互いが声を掛け合って、みんなが状況を感じてプレーできるチームになっていきたいし、それができれば失点を減らしながら攻撃の時間も増やしていけると思っています」

 もちろん、移籍の決断にもつながった自身の成長も意識しながら。

「これまで『若い、若い』と言われながら試合に出てきましたけど、気づいたらもう28歳なので。ここからもうひと伸びするためにも、日々の練習からいろんな刺激を自分の力にして、ひたむきに努力を続けなければいけない。

 この世界では常に100%の準備をして練習に臨み、全力でサッカーに向き合い続けられる選手がやっぱり強いし、結果も残している。当たり前のことですけど、そこは今後も真摯にやり続けたいし、何より僕はサッカーが好きなので。よりサッカーを楽しむために、新たなコーチングスタッフ、選手との出会いを通してサッカー観を広げながら、人間的にも成長していきたいと思っています」

 目標はチームが掲げる『J1リーグでの7位以上』をマストで実現することと、ユニフォームの左胸に並ぶ星の数を増やすこと(=タイトルを獲得すること)。ホーム、パナソニックスタジアム吹田でのプレーにも思いを馳せた。

「2021年にパナスタで日本代表のカタールW杯アジア二次予選、タジキスタン戦が行なわれた際、練習を含めてガンバの施設を使わせてもらったんです。その時に、スタジアムの中にクラブハウスがあって、すぐ隣には練習場が二面あるという環境を体感して、『めちゃめちゃいいクラブだな』って思ったし、スタジアムにもすごくいい印象があった。

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