浦和レッズの今季補強に福田正博が感じる優勝への本気度とビッグクラブ化への期待 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【真の意味でチーム力向上になる補強とは】

 また補強というのは、昨年までの主力をベンチに追いやるほどのメンバーを獲得できてこそ、真の意味でチーム力向上につながると考えるが、今年の浦和の攻撃陣の補強は見事なまでにこれを体現していると感じる。

 まずFWにはチアゴ・サンタナ(←清水エスパルス)を加えた。2022年にJ1得点王になった力のある選手が1トップに入る脅威は相手にとってこのうえない。そのうえでFW興梠慎三やFWブライアン・リンセンが控えているのは理想的と言える。

 サイドアタッカー陣も、昨季は主軸として起用された選手が控えに回る可能性は高い。セリエAのローマからノルウェー代表のMFオラ・ソルバッケンやFW前田直輝(←名古屋グランパス)を獲得し、MF松尾佑介(←ウェステルロー/ベルギー)も復帰した。

 新監督がどう判断するかはわからないが、昨季まで攻撃陣を牽引したMF大久保智明やMF小泉佳穂といった選手がベンチに座って出場をうかがうような状況になれば、チーム力は大きく底上げされることになる。仮に新戦力がうまくハマらなかったとしても、ベンチには実績のある選手が控えているのは心強い。

 ただし、これはあくまでも起用側の視点であって、選手はベンチに甘んじることを良しとはしない。そのためチームのマネジメントは難しさが発生するが、今年の浦和はそこへのチャレンジもしていると解釈ができる。

 今年の浦和はサイドから崩すという王道サッカーをするため、攻撃的なポジションに起用される選手は特長を発揮しやすいはずだ。コンビネーションうんぬんよりも、個として何ができたのかが問われれることになる。

 それだけに起用された選手はパフォーマンスが良ければ続けて試合に使われるし、悪ければベンチを温める。そういうマネジメントでシーズンを通じて選手のモチベーションを高く保てれば、シーズン途中に力が落ちていくこともないと感じる。

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