加地亮のJ1順位予想&全チームレビュー「上位の力は安定している」とみるなかで唯一「かき回しそうな存在」とは? (4ページ目)

  • 篠幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【厳しい戦いを覚悟】

 16位の京都サンガF.C.はMF塚川孝輝やMF鈴木冬一、DF鈴木義宜とMFやDFで良い補強はできたが、得点力が懸念される。サイド攻撃からターゲットになれるストライカーが求められるが、FWマルコ・トゥーリオがそれを担えるか。

 17位のジュビロ磐田はブラジル人を4人、それ以外にもFW平川怜やMF高畑奎汰など注目すべき補強はしている。ただ、J2時代のようにボールを持てたとしても、J1でそれをチャンスまでつなげるというところでは、苦戦を強いられると予想している。

 18位の北海道コンサドーレ札幌は主力をかなり抜かれ、補強でその穴を埋めきれなかった印象だ。札幌のキモである前からのプレスの強度をどれだけ保てるか。それ次第で大きく崩れる可能性があるだろう。ミハイロ・ペトロヴィッチ体制も7年目でマンネリ化も懸念されるところだ。

 19位のサガン鳥栖は、自分たちでボールを握りながら両翼で崩すという狙いはあると思うが、昨季はそこがイマイチ発揮できず、方向性も少し見えづらかった印象があった。FW小野裕二、FW岩崎悠人ら中心選手も抜け、今季はかなり厳しい戦いになるかもしれない。

 20位の東京ヴェルディは城福浩監督のもと、守備の堅いチームに仕上げてくるとは思うが、やはりどう点を取るかに不安がある。MF見木友哉やFW山見大登らいい補強はできているが、J1で戦うにはストライカーのところに物足りなさを感じる。

 若いチームなだけに点が取れず、引き分けや連敗が続いてしまうと立て直しが難しい。一気に下位に沈むと、そこから抜け出せなくなる可能性があるだろう。

【序盤戦でどこが抜けていくかに注目】

 王者の神戸やもともと力のある横浜FM、安定した成績を残す広島など、トップ10くらいまではあまり顔ぶれは変わらないだろうと予想している。上位の力が安定していることに加え、そこに新たに躍進しそうなクラブも見当たらない。

 そんななかで唯一かき回しそうなのが町田だろう。とくに序盤戦で勢いを持って勝ちを拾えたら面白い存在になりそうだ。

 また残留争いでは、J2降格枠が3というのはかなり厳しい。昨季が1枠だっただけにプレッシャーは相当に大きなものになる。ポイントはどれだけスタートダッシュを切れるか。前半戦でどれだけ勝ち点を積み上げられるかだろう。

 ここでつまずいてしまうと一気に難しくなる。そんななかでも年間を通して崩れないチームを作れるか。夏場の補強がポイントにはなると思うが、まずは序盤戦でどこが抜けていくかに注目したい。

この記事に関連する写真を見る加地 亮 
かじ・あきら/1980年1月13日生まれ。兵庫県出身。滝川第二高校からセレッソ大阪に入団。その後、大分トリニータ、FC東京、ガンバ大阪でプレー。運動量豊富な攻撃的右サイドバックとして大活躍し、数々のタイトル獲得に貢献した。1999年ナイジェリアワールドユース準優勝メンバー。日本代表では国際Aマッチ64試合出場2ゴール。04年アジアカップ優勝。06年ドイツW杯に出場した。14年からはアメリカのチーバスUSA、15年からファジアーノ岡山でプレーし、17年に引退。現在は解説者として活躍中。

Jリーグを見るなら『DMM×DAZNホーダイ』がおすすめ。
2月29日までに登録すれば月額2,980円(税込)で視聴可能!

>>> DMM×DAZNホーダイ に今すぐ登録 <<<

プロフィール

  • 篠 幸彦

    篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)

    1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る