鹿島アントラーズの低迷をジーコが分析 日本代表には「ワールドカップでコンスタントに結果を残せるチームに」 (3ページ目)

  • 宇都宮徹壱●司会・文 host & text by Utsunomiya Tetsuichi

【タイトルから遠ざかる鹿島をジーコはどう見ているのか?】

ジーコ 先ほど村井さんが、私のことを「今も鹿島だけでなく日本サッカー界に影響を与えている」とおっしゃっていただきました。私が今も日本サッカーと関わりつづけているのは、やっぱり鹿島や日本に対する強い気持ちが、決して失われることがないからだと思います。

 具体的な話をしましょう。1991年に最初の引退をした時、私にオファーをしてきた住友金属の人たちを自宅に招いたんです。そこで私は、今はどういう暮らしをしていて、どれくらいの資産を持っているのかを見てもらいました。当時、なかったのはCFZ(ジーコサッカーセンター)のグラウンドくらい。それ以外のすべてのものは、当時から持っていました。

村井 ご自身の資産を公開したのは、つまり「私はお金儲けのために日本に行くのではない」ということを知ってもらいたかったから?

ジーコ そういうことです(笑)。日本に出稼ぎをしなくても、私はすでに生活の余裕がありました。それでも遠く離れた日本でのチャレンジを望み、結果としてますます日本との間に深い絆が生まれた。この先も健康でいられるかぎり、私にできることがあれば、日本サッカーのために貢献したいと思っています。

村井 CFZといえば、アンダー世代の大会を毎年開催していて、ブラジルだけでなく日本の子どもたちも参加しているんですよね。たしか日本代表の上田綺世(現フェイエノールト)も、そうだったと聞いています。

── その上田綺世が抜けた鹿島は、親会社が住金からメルカリに変わって以降、タイトルから遠ざかるシーズンが続いています。さぞかしジーコさんも気を揉んでいることと思いますが、現在の鹿島をどのようにご覧になっているのでしょうか?

ジーコ 低迷が続いている原因が何であるのか、ひとつだけ挙げるのは難しいと思います。村井さんに評価していただいた、私と満さんと秀樹さんのトライアングル。かつては秀樹さんがスポンサーやマーケットの管理をして、満さんはチーム全般の統括をして、私はブラジルから選手や監督を連れてきていたわけですが、そうした明確な役割分担も変わってきています。

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