青森山田は高校サッカー選手権4度目の頂点に立てるか J2制した「黒田イズム」継承

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 テーマが「高校サッカー」や「育成年代」ならともかく、「J2」を語るうえで、今季ほど「青森山田」が話題になったシーズンはなかったのではないだろうか。

 昨年度途中まで青森山田高校サッカー部を指揮していた黒田剛監督が、今季からFC町田ゼルビア、すなわちプロチームの監督に異例の転身をしたこと。しかも、黒田新監督に率いられた町田が今季J2で初優勝し、クラブ史上初のJ1昇格を成し遂げたこと。それら一連の出来事が、今季J2において強烈なインパクトを残したのが、その理由である。

 簡単に言ってしまえば、青森山田の哲学やスタイルはプロの世界でも通用した。そのことが大きな注目を集めたわけだ。

 だが、黒田監督にとっては誇らしい成果でも、指揮官が去った青森山田にとっては、それが大きなプレッシャーになったとしても不思議はない。

「監督がいなくなって1年目は、絶対自分たちが結果を残さないと、これからの青森山田は作れないとわかっていた」

 そう語るのは、青森山田のキャプテン、DF山本虎である。

 近年は常勝軍団と称されるにふさわしい、ずば抜けた成績を残していた青森山田も(というより、だからこそ、か)、前監督の退任に合わせて成績が落ちれば、黒田監督あっての青森山田だったと思われかねない。"これからの歴史を作らなければならない"選手たちにとって、それは本意ではなかっただろう。

 しかし、そんな心配は無用だった。

 青森山田は高円宮杯U-18プレミアリーグEASTで4度目の優勝を果たすと、同WEST王者のサンフレッチェ広島ユースと対戦したファイナルも制し(4年ぶり3度目)、今年度のユース世代日本一の座に就いた。

高円宮杯U-18プレミアリーグファイナルを制した青森山田。photo by Hiroki Watanabe/Getty Images高円宮杯U-18プレミアリーグファイナルを制した青森山田。photo by Hiroki Watanabe/Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る「まずは一冠を獲得できたことがよかったし、これからの青森山田の歴史を、自分たちがひとつ作れたかなと思う」

 山本もそう語り、安堵の表情を見せる。

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