サッカーマニア平畠啓史の2023年J2総括 上位で発見した意外な共通点と各チームの「すごかった」ところ (2ページ目)

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu

【監督就任すぐのチームが上位へ行く傾向】

 就任1年目の黒田監督は「大変だった」とおっしゃってましたね。アウェーのロアッソ熊本戦でJ1昇格を決めた時とか、ホームでJ2優勝を決めた時とか、嬉しそうな顔を見るとこっちまでうれしくなってしまいますよ。

 ずっと気を緩められない状況だったと思うんです。選手にそれを求めているからこそ、自分もちゃんとしていないといけないというのは絶対ある。高体連から来て、相当なプレッシャーがあったと思います。そのなかで結果を出したのは、本当にすごい。

 やっぱり喋りがうまいですよね。人の心を掴む。試合中も全然ジタバタしない。それは高校サッカーで場数を踏んでいるのを感じました。例えば、1点取られただけで監督がいきなりバタバタしはじめたら、選手も「おいおい、もうちょい落ち着けよ」ってなると思うんですよ。選手と監督の信頼関係って、そういうところにもあるかなと。

 今年のJ2上位を見ると、黒田監督(町田)が1年目。2位ジュビロ磐田の横内昭展監督が1年目。3位東京ヴェルディの城福浩監督は昨年途中から。4位清水エスパルスの秋葉忠宏監督はシーズン途中から。5位モンテディオ山形の渡邉晋監督もシーズン途中から。そして6位ジェフユナイテッド千葉の小林慶行監督も1年目です。

 昨年のJ1昇格を見ても、アルビレックス新潟の松橋力蔵監督が当時1年目。横浜FCの四方田修平監督も当時1年目。さらに前年の昇格を見ると、京都サンガF.C.の曺貴裁監督が当時1年目、ジュビロ磐田の鈴木政一監督は前年途中からですが、ほぼ当時1年目に近い状態。

 なんか長くやればいいというわけでもないのが、サッカーって難しいなと。

 就任1年目や、シーズン途中からの就任って、目的意識がはっきりするところがあるんじゃないでしょうか。監督にオファーを出す時も「チームをこうしてほしいから」という目的意識がすごくはっきりしているんじゃないかと、自分は考えました。

 2年目、3年目の監督ってどうしてもわかったような気がしてしまうところがあるじゃないですか。プロスポーツでは1年目、2年目みたいな新鮮さが大事なのかもしれないなって。

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