清水エスパルスJ1昇格に王手 J2最強攻撃陣をつくりあげた「秋葉マジック」の正体 (2ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【J1昇格へのラストピースは復帰した原輝綺の存在】

 秋葉体制移行後の変化を、GK権田修一はこう語っていた。

「監督が代わる前は、せっかくいい特徴を持っているのに、いろいろな理由でそれを出しきれない選手が多かった。今はみんなが特徴を発揮していて、そのなかで乾選手は中央でボールを受けてくれて、最後のところで勝負強さを見せてくれる。それは、チームにとって大きなプラスだと思います」

 秋葉体制の初陣となった8節の東京V戦でシーズン初勝利をあげると、そこから8戦負けなし(6勝2分)と勝ち点を積み重ねていく。J1からの降格チームはルヴァンカップのグループステージに出場するため、3月下旬から9連戦が組まれ、5月にも5連戦があったが、過密日程を乗り越えて順位を上げていった。

 5月7日のいわきFC戦で9-1の大勝を飾ると、総得点と得失点差でリーグトップに躍り出る。翌節の藤枝MYFC戦でも5-0の勝利を掴み、今シーズン初めてJ1昇格プレーオフ圏の5位に浮上した。

 4-2-3-1へのシステム変更と、それに伴う乾のトップ下起用が、チーム浮上の主因となったのは間違いない。同時に、試合中のシステム変更も秋葉体制下の特徴に挙げられる。後半開始や後半途中から3-4-2-1へ立ち位置を変えることが、戦い方のベースとなっていくのだ。

 31節のFC町田ゼルビア戦は、3バックへの変更を勝利に結びつけた一戦だ。1-2で迎えた後半開始から3-4-2-1へシステムを変更することで、ビルドアップ時の数的優位を作り出していった。町田のプレスが届かない選手を生み出したのである。

 前半よりもボールを動かせるようになったところで、乾やチアゴ・サンタナが質的優位を発揮。3-2の逆転勝利を収めたのだった。

 3-4-2-1の有効活用については、原輝綺の復帰が大きい。グラスホッパー(スイス)への期限付き移籍満了で7月にチームへ合流した25歳は、28節から41節までスタメンに名を連ねている。

 4バックの右サイドバックを担い、3バック変更後は右センターバックの立ち位置を取る原の存在により、ふたつのシステムを無理なく使い分けることができているのだ。復帰後の出場15試合のうち、12試合にフル出場している彼こそは、J1自動昇格圏浮上へのラストピースだったと言ってもいい。

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